瀬野駅に隣接する始発駅!スカイレールサービス広島短距離交通瀬野線 みどり口駅(広島県広島市安芸区)
来たる4月30日正午で営業を終了する広島の新交通システム「スカイレール」。その始発駅がみどり口駅だ。JR山陽本線瀬野駅に隣接しており、橋上駅舎に直結する形で三階建ての駅舎がある。
開業は平成10(1998)年8月28日。25年8か月と鉄道の駅としては短い歴史にまもなく幕を下ろす。スカイレールはロープウェイとモノレールを合わせたような特殊な乗り物で、日本はおろか世界でもここにしかない唯一無二の存在だ。その特殊性ゆえに更新費用がかかることと、利用者数減少による赤字が廃止の理由とされる。
改札口はJR駅に直結する二階にある。スカイレールの全3駅のうち有人駅はみどり口駅のみで、有人窓口もある。スカイレールはSuicaより3年も早くIC乗車券を日本で初めて導入した路線であった。改札機は平成25(2013)年1月14日の改札システム更新時に更新されたもので、この時から乗車券はQRコード式になった。
ホームは三階にあり、乗車用と降車用に分かれている。フルスクリーン型ホームドアが設置されているため、ホームから車両の姿はあまり見えない。スカイレールは遠隔制御の自動運転で、発車時間になるとドアがそのまま閉まるので、乗車の際は余裕を持っておこう。
乗車ホームと降車ホームの間は行き来ができない。みどり中央方面から到着した車両は乗客の降車が完了すると、スキー場のゴンドラのように終端部で一回転して乗車ホームへと向かう。
みどり口駅を出た車両はすぐに263パーミル(1000m進むと263m上がる)の急勾配を駆け上がる。後ろの窓から見れば、さっき出た駅があっという間に眼下になり、その高低差に驚かされるはずだ。この勾配はケーブルカーを除く日本の鉄道では最も急な勾配で、大井川鐡道井川線の90パーミルや箱根登山鉄道の80パーミルと比べれば、いかに急かがわかるというものだろう。さすがにこれだけ急な勾配だと普通の鉄道では登ることができないため、特殊な「ロープ駆動懸垂式短距離少数輸送軌道システム」が導入された。
山間のニュータウンを見下ろすスカイレールでの空中散歩が楽しめるのもあと二か月足らずだ。スカイレールがあくまでも地域住民のための乗り物であることを念頭に置いた上で、お名残り乗車を楽しもう。
【5月1日廃止】世界でも広島にしかないゴンドラとモノレールを合わせた不思議な乗り物「スカイレール」