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「日本人は滅びる」ユニクロ柳井氏 海外のメディアや識者は日本の未来をどう考えてる? #専門家のまとめ

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

ユニクロを展開するファーストリテイリング会長の柳井正氏が「このままでは日本人は滅びる」と警鐘を鳴らしたのに対し、実業家の前澤友作氏が「日本が滅びるわけない」と反論して議論が起きているが、海外のメディアや識者は日本の未来についてどのように考えているのか?

ココがポイント

▼日本の行き詰まりの背景にある、高齢化にもかかわらず根強い移民受け入れに対する拒否感、過去に執着し変化に拒否的な姿勢、官僚主義、硬直化した仕組み、外の世界に対する恐れ。

日本は未来だった、しかし今では過去にとらわれている BBC東京特派員が振り返る(BBC)

▼少子高齢化は日本の衰退にすぐには繋がらないが、若者の内向き思考や英語を話せる人材の少なさが日本の安全保障の弱点。

少子高齢化は安全保障にも深刻な影響 アメリカの専門家が懸念「日本は二重の灰色化」(The Asahi Shimbun GROBE +J )

▼日本の国際競争力は38位に転落、3年連続過去最低で、アジアではビリから4番目。人材、スタートアップ、イノベーションへの投資による生産性の向上が重要。

世界競争力ランキング(IMD WORLD COMPETITIVENESS CENTER)

▼日本の財政赤字問題やG7の中で最下位という低い生産性、上昇しない賃金、低いスタートアップ投資などが問題で「日本人に未来はない」。

ユニクロの柳井氏がタイム誌の表紙に登場「目を覚ませ。日本は全然先進国ではない」と警鐘を鳴らす(Yahoo!ニュース エキスパート 飯塚真紀子)

海外に対してオープンではない日本の閉鎖性や外国人嫌いな傾向による人口減少で日本は消滅へ。

ジム・ロジャーズ「外国人を入れるくらいなら“日本消滅”の方がましと考える日本人」 友好度アジア最下位(Yahoo!ニュース エキスパート 飯塚真紀子)

エキスパートの補足・見解

少子高齢化の一途を辿る日本は経済成長が難しい、構造改革が進んでいない、中国や韓国の方が規制が多い日本よりオープンで、英語も日本人より話せる。識者からそんな声を聞いてきた。加えて、膨らむばかりの財政赤字問題もある。「日本は滅びる」「日本消滅」という声は「変わらない日本」に対する警告だろう。

プリンストン大学で社会学と人口統計学を教えるジェームズ・レイモ教授は「日本の人口危機は数十年にわたって進行してきたという点で独特で、出生率が長い間一貫して低い状態であることが問題。たとえ日本の夫婦が突然、平均3人の子供を産み始めたとしても、人口は減り続けるだろう。出生数もしばらくは減少し続け、増加しないだろう。しかし、だからと言って、日本が破滅するわけではない。出生率はいずれ安定し、日本は適応するだろう。しかし、それには時間がかかる」との見方を示している。そして、適応の過程では、人間の労働が機械に置き換えられる「社会の大規模な機械化」が起き、政府ができる対応は「日本が経験したことのないレベルの大量の移民」と述べている。日本の10年後について「少し貧しくなり、高齢者や家庭に対する政策支援の面で、少し寛容さが欠ける国になるかもしれない。しかし、日本が失くなることは想像できない」と予測している。

在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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