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那須町・夫婦の遺体焼損事件 容疑者の元俳優の逮捕が中国のSNSで検索ランキング1位に

中島恵ジャーナリスト
被害者夫婦が飲食店を営んでいた東京・上野の街(写真:イメージマート)

栃木県那須町の河川敷で、焼損した夫婦の2遺体が見つかった事件で、警視庁と栃木県警の合同捜査本部は5月1日、死体損壊容疑で、子役出身でNHK大河ドラマにも出演したことがある元俳優の若山耀人(きらと)容疑者と韓国籍の姜光紀容疑者を逮捕した。

同事件は当初から中国でも大きく報道されていたが、実行犯が元俳優だったことが判明して以降、さらにSNSを中心に注目を集めている。

閲覧数は1億6000万回以上に

5月1日夜22時~23時ごろ、中国のSNS、微博(ウェイボー)の検索ランキングで点時新聞の「華人夫婦遺体焼損事件、日本の男優が容疑者として逮捕」というニュースが1位になった。同ニュースは2日午前9時までに約1億6000万回読まれ、5万回シェア、コメント数は約8400回に上り、その後も閲覧数は伸び続けている。

記事は日本の報道をほぼそのまま翻訳した内容だったが、子役時代に若山容疑者がNHKの大河ドラマ『軍師官兵衛』に出演したときの写真なども掲載されており、衝撃的だったようだ。

同事件は、発生から数日経った頃から、中国だけでなく、在日中国人がよく使うSNS、ウィーチャットのグループチャット、小紅書などでもときどき取り上げられていた。

中国のウェイボーに掲載されていた事件に関する写真(ウェイボーより筆者引用)
中国のウェイボーに掲載されていた事件に関する写真(ウェイボーより筆者引用)

殺害された宝島龍太郎さんが経営する飲食店は、東京・上野に多数あるが、上野界隈にはここ数年、池袋や新宿などと同様、「ガチ中華」を含む、中国人経営の中華料理店、焼き肉店、居酒屋などが急増しており、ミニチャイナタウン化してきている。

在日中国人がひとつのエリアに多数集まってくることによって、かつては起きなかったようなトラブル、ケンカが増えたという声もある。宝島さんの妻、幸子さんがスタッフを中国語らしき言葉で怒鳴っていた、との話も週刊誌で報じられている。

上野界隈で会社経営する中国人などが、内輪だけしか閲覧できないSNSグループに、同事件についてさまざまな「つぶやき」を書き込んでいる。

中には地元の有名人だったという宝島さん夫妻について小耳にはさんだ“評判”を書き込む人もいたが、しばらくしてから見ると、それらは削除されていた。この事件について何かを語りたいけれど、たとえ内輪のグループ内とはいえ、文字に書き残すことはよくないと考えたようだ。

一方、中国国内のSNSのコメント欄を見ると、東京の詳しい事情はよくわからないまでも、宝島さん夫妻の国籍に関するコメントや、日本で凶悪事件が増えていることに対する不安、心配などのコメントが多数あった。SNSの発達とともに、日本のビッグニュースは瞬時に中国でも報じられるようになったが、今後も注目を集めそうだ。

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「日本のなかの中国」「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミア)、「中国人のお金の使い道」(PHP新書)、「中国人は見ている。」「日本の『中国人』社会」「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国を取材。

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