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島根県で線状降水帯による大雨 九州から北陸・東海で梅雨最後の豪雨、関東甲信などは梅雨明け模様

饒村曜気象予報士
島根県の線状降水帯(7月8日07時40分)

島根県で線状降水帯

 令和5年(2023年)7月8日は、日本海に停滞した梅雨前線が活発となり(図1)、気象庁は7時39分に島根県に対して「顕著な大雨に関する気象情報」を発表しました。

図1 地上天気図(7月8日9時)
図1 地上天気図(7月8日9時)

 これは、島根県では線状降水帯が発生し、非常に激しい雨が降るという情報です(タイトル画像)。

 島根県出雲市・出雲では8時50分までの3時間で89.5ミリ、島根県松江市・鹿島では17時30分までの12時間で162.5ミリという激しい雨が降りました。

 島根県東部では、大きな浸水被害が発生しましたが、線状降水帯は長続きせず、日雨量が200ミリを超えたのは、島根県の一部だけでした(図2)。

図2 24時間降水量の分布図(7月8日0時~24時までの24時間)
図2 24時間降水量の分布図(7月8日0時~24時までの24時間)

 ただ、梅雨前線の活発な状態は、7月9日も続き、西日本〜東日本で非常に激しい雨が降る見込みです。

 特に、九州北部では250ミリの大雨が予想されており、その先も、西日本〜東北の広い範囲で大雨のおそれがあります(図3)。

図3 48時間予想降水量(7月9日0時~10日24時までの48時間)
図3 48時間予想降水量(7月9日0時~10日24時までの48時間)

 気象庁では、早期注意情報を発表し、5日先までに警報を発表する可能性を、「高」「中」の2段階で示しています。

 大雨に関する早期注意情報によると、7月9日朝から夜遅くでは、九州から東北南部まで「高」か「中」になっています(図4)。

図4 大雨に関する早期注意情報
図4 大雨に関する早期注意情報

 7月10日や11日は「高」や「中」の範囲は狭まりますが、九州北部と北陸4県・山形県は3日連続となりますので、大雨に対して厳重な警戒が必要です。

広い範囲で真夏日

 令和5年(2023年)7月8日に全国で1番気温が高いのは、宮崎県宮崎市・赤江の34.9度で、最高気温が35度以上という猛暑日は観測されませんでした。

 また、最高気温が30度以上という真夏日を観測したのは264地点(気温を観測している全国915地点の約29パーセント)、最高気温が25度以上の夏日を観測したのが808地点(約88パーセント)と、いずれも前日よりは減っています(図5)。

図5 夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(4月1日〜7月8日)
図5 夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(4月1日〜7月8日)

 とはいえ、全国の9割は夏日ですし、同じ気温でも、湿度が高くなってきていますので、湿度が高くなっている分だけ、熱中症の危険性は高まっています。

 例えば、東京都心では、今年、令和5年(2023年)は、これまで真夏日が16日ありますが、ほとんどの日で最小湿度が60パーセント未満の乾燥した高温です(表1)。

表1 令和5年(2023年)の東京都心の真夏日と最小湿度
表1 令和5年(2023年)の東京都心の真夏日と最小湿度

 しかし、6月末からは最小湿度が60パーセント以上の湿った高温の日が出始めています。

 そして、7月9日は雨の予想で、最高気温は真夏日には少し届かないと思われますが、最小湿度は76パーセントと高く、週明けの10日、11日は真夏日の予想で、しかも最小湿度が60パーセント以上と高くなっています。

来週は梅雨明け?

 各地の10日間予報をみると、梅雨明けをした那覇と奄美大島・名瀬では、7月9日以降の10日間は、お日様マーク(晴れ)が続き、連日真夏日の予報です(図6)。

図6 各地の10日間予報(7月9日~15日は気象庁、16日以降はウェザーマップの予報で数字はともに最高気温)
図6 各地の10日間予報(7月9日~15日は気象庁、16日以降はウェザーマップの予報で数字はともに最高気温)

 広島は、7月12日までは傘マーク(雨)ですが、13日以降は、お日様マーク(晴れ)が続く予報です。

 大阪と福岡も、7月11日までは傘マーク(雨)ですが、12日以降は、お日様マーク(晴れ)が続く予報です。

 東京にいたっては、傘マーク(雨)は9日だけで、10日以降は、お日様マーク(晴れ)が続く予報です。

 各地の10日間予報からみると、今週は九州から関東甲信の広い範囲で梅雨明けの可能性があります。

 これは、太平洋高気圧が強まってきていることと関係があり、7月11日までの大雨は、梅雨明け直前の大雨といえそうです。

 さらに、新潟と仙台も、7月16日以降はお日様マーク(晴れ)が続く予報ですので、この頃に梅雨明けになるかもしれません。

 令和5年(2023年)の梅雨明けは、沖縄地方では、平年より4日遅い6月25日でした。

 また、鹿児島県の奄美地方は平年より3日早い6月26日でした(表2)。

表2 令和5年(2023年)の梅雨入り・梅雨明け
表2 令和5年(2023年)の梅雨入り・梅雨明け

 今週から来週にかけて各地で梅雨明けとなった場合は、いずれも平年より早い梅雨明けということになります。

 ちなみに、梅雨がないとされる北海道ですが、7月11日~17日は傘マーク(雨)の日が続き、梅雨のような天気になると考えられます。

 いずれにしても、この10日間予報は、全国のほとんどで最高気温が30度以上の真夏日という予報です。

 しかも、これまでとは違って、湿度が高くなってきました。

 湿度が高くて気温が高いという、熱中症になりやすい危険な暑さが続くという予報ですので、熱中症には最大限の警戒が必要です。

タイトル画像、図2、図3、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1、表2の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

表1の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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