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逮捕されたスーパースターの息子がリング復帰?

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 今年1月、元WBCミドル級チャンピオン、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアがライフル不法所持で逮捕された。本人、あるいは他者に危害を及ぼす可能性があると心配したファンが通報し、現場に警官が駆け付けたのだ。

 ジュニアが立ち入り調査を許可すると、「ゴーストガン」が見付かった。ゴーストガンとは、シリアル番号が付いていないため、追跡不可能な銃のことだ。

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 手錠をかけられたスーパースターの息子。実父であり、ジュニアライト(現スーパーフェザー)から3階級を制した伝説のファイターであるチャベス・シニアは当時、息子の精神状態を危ぶみ、「チャベス・ジュニアにはメンタルの治療が必要だ」と述べていた。

写真:ロイター/アフロ

 そのチャベス・ジュニアが、7月20日にリングに上がるという。マイク・タイソンvs.ジェイク・ポール戦の前座に組み込まれたのだ。同興行を手掛けるMost Valuable Promotionsが、5月15日に正式発表した。

写真:ロイター/アフロ

 対戦相手はUFCファイターのダレン・ティル。今回がボクシングデビューとなる。英国・リバプール出身のティルは31歳。2022年末に現UFCミドル級チャンピオンのドリカス・デュ・プレシと戦い、敗れて以来、ブランクを作っている。

 2023年2月にUFCから解雇されたティルは、総合格闘家として3連敗中だ。2018年9月以降の戦績は1勝5敗。そのうえ、ボクシング経験が無しとなれば、38歳となったチャベス・ジュニアにとって安牌か。

 ティルは話した。

 「チャベス・ジュニアと戦えるなんて最高だ。私は長年、彼の父のファンであり、息子にも注目してきた。ただ、ジュニアも尊敬すべき偉大なファイターだが、私は彼をノックアウトするために当日を迎える。そこを誤解しないでほしい。人生の第一ラウンドは良かった。7月20日土曜日にテキサスで、新たな章をスタートさせるんだ」

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 元UFCミドル級チャンピオンのアンデウソン・シウバに判定負けした過去を持つ、チャベス・ジュニアも言った。

 「しばらく休んでいたので、リングに戻ることに興奮している。自分を再構築するために、トレーニング中だ。もう一度チャンピオンになれることを証明したい。こんな歴史的興行で復帰できるなんて光栄だ。私は勝つ。KOで。そして、旅を続けるんだ」

写真:ロイター/アフロ

 チャベス・ジュニアvs.ティル戦は、クルーザー級6回戦が予定されているそうだ。マイク・タイソンがリングに上がることもあり、会場はテキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムという大きな箱だ。

 果たして、どんなショーになるか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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