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93歳でも意気軒高! ボクシング界を牛耳ったプロモーターの怪気炎とドナルド・トランプへの愛

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 先日、93歳のボクシング・プロモーター、ドン・キングが今回の米国大統領選挙の結果を受けて、メディアにメールを送信した。タイトルは「ドナルド・J・トランプ大統領が見事に勝利」というものだった。

 配布されたリリースには「再び大統領に、ドナルド・J・トランプ!!!」「驚異的な勝利」「民主主義をめぐる大統領選挙」「世界で最も偉大な国であるアメリカ、そして本物の米国市民」「アメリカ第一」「ドナルド・J・トランプに協力すればうまく運ぶ」「交わした約束…守った約束…」「自由、平和、平等、主権、そして独立」「厳格な国境管理」「安全性とセキュリティ」「不法移民の犯罪からの保護」「アメリカの名誉、誠実さ、尊敬を回復する」「直面する経済、物価、税金問題の解決」「強力な軍事力と軍隊の再建」などという語が、これでもかと続く。

 そして最後はトランプの合言葉である「アメリカを再び偉大にする」と締めくくってあった。

写真:ロイター/アフロ

 キングとトランプは30年以上にわたって友情を育み、類似点を共有してきた。金を稼ぎ、誇大広告を打ち、共にビジネス訴訟を乗り越えてきた。

 キングは語っている。

 「ドナルド・トランプは自分らしくありたいと願う若者だった。 ビジネスにおいては、法律に違反していないレベルでの誇張表現が機能する」

 1946年6月14日生まれで現在78歳のトランプは、1931年8月20日にオハイオ州クリーブランドで生まれたキングの影響を強く受けた。

写真:ロイター/アフロ

 キングという男は、故郷の貧民街で不法賭博場を開き、幾ばくかの財を成した。その後の1954年12月、自らの店に押し入った強盗を射殺する。1966年4月には、600ドルを借りながら、返さないかつての部下に暴行を働き、死に至らしめている。一度目は正当防衛が認められたが、二度目の殺人では実刑を食らい、およそ4年、塀の中の住民となった。

写真:ロイター/アフロ

 キングは、囚人服を着ている間に同じ肌をした時代の寵児、モハメド・アリへ接触するにはどうすれないいかを熟考し、出所後はプロモーターとして名を馳せる。2人はお互いから多くを学習し、それぞれの職業的本能を強化したと振り返る。

 第45代アメリカ合衆国大統領であり、間もなく47代の座も手に入れるトランプにとって、キングは同盟者であり、模範にもなった。半世代年上で、その強引かつ独善的な手腕が道先案内の役目を果たしたのだ。

 第2次トランプ政権下で、93歳のキングはどんな働きを見せるのか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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