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下剋上を喰らったメッシ率いるインテル・マイアミ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:REX/アフロ)

 リオネル・メッシ率いるインテル・マイアミは、9日(土)に行われたMLSカップ・プレイオフ第1ラウンドの最終戦で、第8シードのアトランタ・ユナイテッドに3-2で敗れ、姿を消した。驚くべき番狂わせであると同時に、トーナメント戦を採用したプレイオフの面白みも見せた。

写真:ロイター/アフロ

 今季のマイアミは、MLS史上最多得点記録を樹立し、東地区1位でレギュラーシーズンを終えた。一方のアトランタは、最後の枠を何とか獲得してプレイオフ進出を果たしていた。レギュラーシーズン終了時点での両チームの勝ち点差は34。MLSポストシーズン最大の開きがあるチームの対戦となった。

 御存知のように、マイアミはメッシだけでなく、彼のFCバルセロナ時代の同僚であるルイス・スアレス、セルヒオ・ブスケツ、ジョルディ・アルバというベテランを抱え、虎視眈々とVを狙っていた。

セルヒオ・ブスケツ
セルヒオ・ブスケツ写真:つのだよしお/アフロ

 昨年7月にメッシがマイアミに加入した折、同チームは最下位に沈んでいた。が、瞬く間に勝利のメンタルを身に付けた。チームもファンも、そしてメディアも、今季の優勝候補にマイアミを挙げた。

写真:ロイター/アフロ

 しかし、37歳となった今もアルゼンチン代表の10番に君臨し、ワールドカップ南米予選を戦うメッシの体には疲労が蓄積されている。今シーズンは6月20日から7月14日まで催されたコパ・アメリカでも2021年大会に続いて連覇を飾った。その間の2022年11月20日から12月18日まではカタールW杯があり、激闘を繰り広げた末、アルゼンチンは1986年メキシコ大会以来の優勝を遂げている。黒いマントを羽織り、ワールドカップを掲げたメッシの姿は記憶に新しい。

写真:ロイター/アフロ

 こうした国際大会と比較すれば、MLSのレベルは低い。それでもメッシは、気の合う仲間たちとのプレーを楽しみながら、MLSの若手を引っ張り、かつ育てながら勝ち上がってきた。まさか、東地区9位に終わり、ワイルドカードでプレイオフに滑り込んだ伏兵に行く手を阻まれるとは思いも寄らなかったであろう。

ルイス・スアレス
ルイス・スアレス写真:REX/アフロ

 敗戦となったアトランタとの第3戦は、ディフェンダーのクリアミスが目立った。それも、肝心なところでの致命的な過ちだった。守備に重点を置き、カウンターを仕掛けるワイルドカードチームの術中に、マイアミはまんまとハマってしまった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 MLSプレイオフはこれからが佳境を迎える。地区セミファイナル、地区ファイナル、そしてファイナルは1試合のみ。優勝候補が消えた今、制するのはどこか。吉田麻也がキャプテンマークを巻くLAギャラクシーも生き残っている。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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