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デビュー2戦目でメインイベンターとなった新星

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:筆者

 拓殖大学3年生次に全日本チャンピオンとなり、パリ五輪出場を目指していた横山葵海(あおい)。バンタム級にはチャンスがないことを知り、それなら、と今年3月の卒業後にプロの道を選んだ。2024年7月のデビュー戦は圧勝。この程、2戦目が決まった。東洋太平洋6位のフィリピン人、デンマーク・ケビドと12月21日に対戦する。早くもメインイベンターとしてリングに上がることとなった。

撮影:筆者
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 今週から三迫ジムへの出稽古で調整中だ。ケビドがサウスポーであるため、前段階として同門の元WBOミニマム級王者、谷口将隆がスパーリングパートナーを務めた。現在2階級制覇を狙って汗を流す谷口は言う。

 「いやぁ、滅茶、強いです。今までやったなかで、横山が最強ですよ。間違いなく世界チャンピオンになる器です」。ワタナベジムの「ジム頭」である京口紘人も「あいつは、ヤバいです」と相槌を打つ。

撮影:筆者
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 12月21日はセミファイナルに、横山と同じスーパーフライ級のIBF王座決定戦が組まれた。いずれ、この勝者と拳を交えるのか。

 この夏、横山は東洋太平洋ライト級チャンピオンの先輩、宇津木秀とともにラスベガスでトレーニングした。

 「中学生の頃からボクシングやっていますが、ラスベガスでの練習内容は、僕が重ねてきたものと全く違いましたね。何が勉強になったかって、本場の一流選手はとにかくディフェンスの意識が高いんです。シャドウ一つとっても違います。

 あのキャンプ以来、打ち終わりの動きや、パンチを出す時、相手に対して真っ直ぐ入るのではなく、アングルをずらす等、アドバイスされたことを忘れないように取り組んでいます」

撮影:筆者
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 横山は練習の虫だ。誰に何を言われなくても、日々、自分を追い込める。

 「映像を見ましたが、ケビドはストレートから左アッパーとか、日本人にはない動きをしてくる印象です。技術プラス、柔らかさがありますね。

 メインイベントですが、あまり気負わずに自分のボクシングをしたいです。デビュー戦のように圧倒できたらいいですが、相手もランカーだから強いでしょう。パンチを貰わずに、勝ちに拘った試合をします。それでKOできたらいいなと考えています」

撮影:筆者
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 横山葵海、是非、名前を覚えてください。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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