テレビ生中継で抗議のロシア人ジャーナリスト「私は国に残ります」。亡命の援助を断る。
「私は、母国を離れたくないと思っています。私は愛国者です」と、マリーナ・オヴシアニコワさんは語った。
ドイツの雑誌『シュピーゲル』のインタビューで語った。
マクロン仏大統領は15日に、前日の夜に生中継のニュース番組で抗議活動をした彼女に対し、大使館での「領事保護」、または亡命の許可を提供する用意があると述べた。
彼女は逮捕された後、罰金刑を受けて釈放されている。しかし、ロシア軍に関するあらゆる「虚偽の情報」を罰する最近の法律により、依然として最高で禁固15年となる重い実刑判決を伴う、刑事訴追を受ける可能性がある。
彼女は、ウクライナ人の父とロシア人の母の間に、オデッサで生まれた。
オヴシアニコワさんは、「何よりもまず、平和主義の行動を取りました」と考えており「この戦争をできるだけ早く終わらせることが、ロシアと世界のためになる」と言った。
「また、この戦争に、ロシア人も反対していることを示したかったのです。欧米の多くの人がわかっていないことですが。知的で教養のある人々の大半が、この戦争に反対しています」と彼女は言った。家族にも友人にも内緒で、一人で行動を準備したという。
「全国ネットのテレビ局に勤めている人の多くは、何が起こっているのかよく理解しています。自分たちのやっていることが間違っていることを、彼らはよく知っているのです。彼らは宣伝に熱心なわけではなく、しばしばそうでないこともあります」という。
「しかし、同僚たちは家族を養わなければならないし、現在の政治情勢では次の仕事が見つからないことも知っています」とも語る。
彼女は、国営放送のロシア人ジャーナリスト数人が、情報規制に反対してここ数日で辞職したことを「うれしい」と言っている。『ル・モンド』が伝えた。
しかし、ロシアは、もう今までのロシアではない。
ロシアは、15日に、欧州の人権保護などを目的とした国際機関「欧州評議会」を脱退した。今まで反体制政治家のナワリヌイ氏などが、毒殺されそうになりながらも生きており、収監中の彼の発言が世に公表される機会があったのは、この欧州評議会の存在があった。
ここでの人権侵害などの訴えを通して、欧州評議会のメンバーたちが目を光らせていたのである。加盟国だったロシアは、まったく無視する訳にはいかなかったのだ。
しかし、ロシアは脱退してしまった。もう公然と無視できるし、「これで死刑が復活できる」と述べた政治家すらいた。そして罪状は、いくらでもでっちあげられる。
国に残りたいという気持ちはわかるし、立派だと思う。でも、一体次に何が起こるのか。私は彼女の身が大変心配である。若い女性だし、男性とは異なる被害の可能性もあるのではないか。不安を少しでも感じたら、いつでもフランスに逃げてきてほしい。