女性部下から「相談されるスキル」をアップするたった一つの考え方
■急増する「女性部下」
現代の日本社会において、女性が活躍できない職場に未来がないのはすでに周知の事実だ。
だから、
「女性部下って苦手なんだよな」
と頭をかいている上司がいたら、もう退場と言っていい。
とはいえ、長年、男性部下しか持ったことがない男性上司は、戸惑うことも多いだろう。そこで、今回は女性部下と良好な関係を構築するために必要な心構えを簡単に解説する。
とくに、どうすれば相談されるのか?
「相談されるスキル」を向上させる考え方、テクニックを考えてみたい。
■2種類の相談事
他人からの相談事には、2種類の目的があることを知っているだろうか? その目的とは、以下の2種類だ。
1.問題を解決したい
2.安心欲求を満たしたい
頭でっかちの人は、すべての相談の目的は前者の「問題解決」であろうと考える。私もコンサルタントという職業柄、ついつい早合点する。後者の「安心欲求」目的の相談にも、問題を解決しにいってしまう癖があるのだ。
具体的な会話例を書いてみよう。
たとえば女性の部下から以下のような相談をされたとする。
「同期入社したAさんが当社の人事制度に不満があるようで、退職したいと言ってるんです。話を聞いてみると、かなり誤解しているようなんですが」
こういう相談であれば、上司は問題を解決するために頭を働かせないといけないだろう。
「そうだなァ、当社の人事制度って、けっこうわかりづらいからな」
などと呑気なことを言っている場合ではない。
「すぐにAさんと話し合ってみるよ」
と、解決の糸口を見つけようすべきである。いっぽうで、以下のような相談をされたらどうだろう。
「昨日、同期のAさんと二人で飲みに行ったんですけど、行った先の居酒屋のご主人が人手不足で困ってるって言ってました。居酒屋さんがアルバイトを集めるのって、どうすればいいんですかね」
こういう相談であれば、相談というスタイルをとった世間話だ。間違っても、
「どんな居酒屋かな。居酒屋であっても、待遇だけじゃなくて、働きがいを感じられないようなお店だと、なかなかアルバイトは見つからないと思う。知り合いの人材派遣会社を紹介してもいいけど、どういうアルバイトを集めたいのか、もう少し詳しく教えてもらえないかな」
などと、本気で問題解決しようとしてはいけない。
こんな返答をしたら、「なんだか面倒くさいことになったな」と相手は受け止めることだろう。こういう場合は、
「へェ、居酒屋さんも大変なんだね。確か、僕がこの前行ったお店も人手不足ですごく困っていたよ」
と、相手の話に共感し、同じ目線で感想を口にする。
「私の幼なじみがスペイン料理の店をやってるんですが、従業員が少なくって店をたたむらしいんです」
「それは残念だね。せっかくお店を開いたのに」
「スペインで3年修業して、ようやく2年前にお店をもったんですよ。私もすごく残念です」
「そうかァ、なんとかならないのかなァ」
……と、これぐらいの緩さで世間話に付き合うのだ。
■部下とのペーシングが大前提
女性だけのコミュニティで長く講師をしてきて、この話をすると、ほとんどの方から「そうそう!」「話を聞いてもらいたいだけなの」と共感される(もちろん個人差はある)。
このように、女性部下からの相談は「安心欲求」を満たしたいという目的である比率が高い。少なからず男性部下からの相談よりも高いと捉えたほうがいいのだ。
相談を受けて、論理的に話を噛み合わせたほうがいいのか、それとも表面的に調子だけ合わせればよいのか、正しく識別してギアチェンジできること。これが、円滑なコミュニケーションをするうえで大切なことだ。
なかなか相談されない上司は、ついつい
「どうしてわからないことがあったら相談しないんだ。いつでも相談しろと言ってるだろう」
と相手に相談を要求する。しかし、上から目線で「相談しろ」と求められたら、部下の「安心欲求」はどんどん悪化していく。心を開けなくなるのだ。
女性部下から相談されやすくするには、日ごろからの何気ない「共感コミュニケーション」が大切なのだ。