マルチプレイヤーゲームで迷惑系プレイヤーだけを組ませるという触れ込みのAmazonの特許について
「Amazonがマルチプレイゲームで暴言を吐くなどしてほかのプレイヤーの気分を害する"有毒プレイヤー"同士をマッチングさせる特許を取得」というニュースがありました。「有毒プレイヤー」とは"toxic player"の訳ですが、「迷惑系プレイヤー」とでも言った方が適切でしょうか?
記事中には「マルチプレイゲームを台無しにする”有毒”なプレイヤーをグループ化し、その傾向にあるプレイヤー同士を同じマッチで戦わせる特許」と書かれていますが、これは正しくありません(というか全然違います)。特許明細書には、「そのようなやり方で"有毒"プレイヤーを隔離しようとしても、人により何を”有毒”と考えるかは異なるので実現は難しい(たとえば、下品な言葉を使うのを”有毒”ととらえるがゲーム途中で退出するのを”有毒”ととらえない人もいれば、その逆の人もいる)」と記載されています。実際に特許化されたのは、プレイヤー選択アルゴリズムに関するより広範囲の発明です。
発明のポイントは、マルチプレイヤーゲームで対戦相手やギルドのメンバーをシステムが自動選択する際に、スキル・レベルだけではなく、他の要素、特にプレイヤーの行動履歴に基づいた選択を行うというものです。人によりどのような行動を”有毒”(不快)と考えるかは異なるので、複数パラメーターによる重み付けに基づき、マッチ度を定量化します。これにより、快適なマルチプレイヤーゲーム体験を提供することがこの発明の目的です。
特許番号は、US10807006号、発明の名称は” Behavior-aware player selection for multiplayer electronic games” (マルチプレイヤーゲームにおける行動を考慮したプレイヤー選択)です。登録日は2020年10月20日、出願日は2017年12月6日です。米国外への出願は確認できていません。
クレーム1はシステム・クレームでちょっと構成がわかりにくいので、よりわかりやすい方法クレームの独立クレームであるクレーム5を見てみましょう。
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