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小平奈緒との“抱擁”イ・サンファは今、何をしているのか。北京五輪スピードスケート解説も

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:ロイター/アフロ)

中国・北京で行われる冬季オリンピックの開幕がいよいよ迫ってきた。今大会でも多くのドラマが生まれるのだろうが、冬季オリンピックの名シーンとして記憶に新しいのは前回・平昌(ピョンチャン)五輪のスピードスケート女子500m決勝だろう。

国籍を超えた“友情の抱擁”のそれから

日本の小平奈緒と韓国のイ・サンファ。互いに競い合った末に、金メダルに輝いた小平奈緒がイ・サンファを抱擁し労うふたりの友情は、日本と韓国の両方で大きな話題になった。

あれから4年。小平奈緒は500mで連覇を目指して北京五輪に出場するが、イ・サンファが北京の氷の上に立つことはない。

平昌五輪後も1年間は選手生活を続けたが、2019年5月16日に引退している。

平昌五輪直後に出演したテレビ番組では、平昌五輪後にプチ整形した事実や小平奈緒との関係を赤裸々に語りつつ、「3歳年上の奈緒が記録を伸ばしているので私も頑張りたい」と北京五輪にも意欲を見せていたが、ひざや足首の故障もあって惜しまれての引退だった。

では、イ・サンファはその後どうしているか。

引退後は日本出身タレントと結婚

まず引退と同時に、それまで所属していた実業団やスポーツ・マネージメント会社を離れて、芸能プロダクションに所属。

『知っているお兄さん』、『同床異夢』など、韓国人なら誰もが知る人気バラエティなどにも出演し、スポテイナーとしての一面をのぞかせてSNSなどでも話題になった。

2019年には韓国の地上波テレビ局SBSの年末恒例行事『SBS演芸大賞』で、SNSスター賞も受賞しているほどだ。

また、プライベートではタレントのカンナムと2019年8月に結婚した。

カンナムは韓国人の母と日本人の父を持ち、2011年にアイドルグループ「M.I.B」のメンバーとして韓国デビュー。日本国籍でありながらも流暢な韓国語や韓国への愛情を表現するタレントとして話題を集め、一時は「韓国で最も有名な日本人」とも言われた人気者だ。

ふたりは番組共演で知り合い、2019年3月に交際発覚。その年の10月には電撃結婚している。

それに先立ってカンナムは日本国籍から韓国籍に帰化することを宣言。ふたりの結婚式の模様は前出の『同床異夢』でも公開されたが、そこでは小平奈緒が韓国語でのお祝いビデオメッセージもサプライズで用意され、イ・サンファを感動させていた。

(参考記事: 小平奈緒やキム・ヨナも祝福!! 元スピードスケート選手イ・サンファの結婚式が公開される)

その後もスポーツ・バラエティ番組にレギュラー出演したり、秋山成勲との料理バラエティ番組に出演したりと、現在はタレントとして活動中のイ・サンファだが、今月は久々にスピードスケーターとしての顔を見せる。

「今度は私が奈緒を抱きしめたい」

北京五輪を中継放送する韓国の国営テレビ局KBSのスピードスケート担当の解説者を務めるこという。

「解説は初めて。私にとって初の五輪だったトリノ大会では気持ちが空回りして失敗ばかりでしたが、初解説で失敗しないよう勉強をたくさんして有益な情報をお届けしたい」と抱負を語っているイ・サンファ。

KBSの特番では小平奈緒についても語っており、北京で会ったら「今度は私が彼女を強く抱擁したい」という。

「奈緒は五輪チャンピオンですが、下からの突き上げなど追われる立場にあります。本人はとてもプレッシャーを感じているようです。だから今度は私が彼女を抱きながら、“頑張って。最後までファイト”と声をかけてあげたい。彼女にとって最後になるかもしれないオリンピックですから、今まで以上に応援してあげたいんです」

北京でも“抱擁”が実現したとき、ふたりの目に輝くものは何か。ライバルであり友人でもある日韓スピードスケート友情物語に、燦然と輝くフィナーレが加わることを期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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