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3月ダイヤ改正、利用者激減騒動の札幌―室蘭間「特急すずらん」は変化なし 心配される今後の利用促進策

鉄道乗蔵鉄道ライター
789系電車でも運行される特急すずらん号(写真AC)

 JR北海道は、2025年3月15日に実施されるダイヤ改正の概要を発表した。東室蘭・函館方面については、札幌―函館間を結ぶ特急北斗号の一部列車で停車駅の削減による速達化が行われるが、その一方で札幌―室蘭間を結ぶ特急すずらん号についてはダイヤの変化なしということがわかった。

 特急すずらん号は、2024年3月のダイヤ改正で自由席を廃止し全席を指定席化。切符の販売については、割引きっぷの駅窓口での販売を廃止し、前日までに予約が必要で座席の変更に制約が生じる「えきねっと割引」の販売に一本化した。しかし、当日利用では運賃と特急料金でこれまでの2倍近い価格となることや、鷲別駅など一部の特急停車駅では無人化によって駅窓口が閉鎖されており、特急券の購入はおろか「えきねっと予約」のきっぷの受け取りができない状況があるなど、各所で販売面の不備が目立つ改正となった。こうした影響からか、ダイヤ改正以降は利用者が激減し、空席が目立つ特急すずらん号の様子が相次いでSNS上に投稿され話題となっていた。

 すでに2024年5月に行われたJR北海道の定例記者会見の場で、綿貫社長は、特急すずらん号の乗車状況に関する質問が相次いだことに対して、利用者が減少していることを認める発言をした上で、その原因について「割引きっぷを廃止したことも若干影響がある」という見解を示していた。さらに、翌月となる6月に行われた定例記者会見では「すずらんに乗ってもらう対策はこれから検討していく」と発言していたが、少なくとも今回発表された列車ダイヤの面では特に対策はされていなかった。

 筆者は先月、特急すずらん号を札幌―室蘭間で利用したことは筆者の記事(札幌―室蘭結ぶ「特急すずらん」 ダイヤ改正で「利用者激減騒動」から8ヵ月の現状は…室蘭駅は無人駅に)で詳しく触れているが、地域在住の方に話を聞いたところ、きっぷの販売面で大きな改定が行われたことで、JRを利用したくても高速バスを利用せざるを得ない面があることが浮き彫りとなった。綿貫社長は、6月の定例記者会見の場で「すずらんに乗ってもらう対策の検討」について言及しているが、3月のダイヤ改正までにきっぷの販売面については利用促進に向けての何かしらの追加の発表があるのか、それとも何の対策もないままダイヤ改正を迎えることになるのか注目だ。

ダイヤ改正後の札幌ー東室蘭・函館間の特急列車時刻表(JR北海道プレスリリースより)
ダイヤ改正後の札幌ー東室蘭・函館間の特急列車時刻表(JR北海道プレスリリースより)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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