3月改正「特急北斗・おおぞら」一部で時間短縮も、新夕張駅通過で「青春18きっぷ」での石勝線移動困難に
JRグループは例年12月15日前後に3月のダイヤ改正の概要を発表しているが、この正式発表に先立って北海道新聞の報道により、JR北海道のダイヤ改正の内容が明らかにされた。
このダイヤ改正では、旭川―網走間を結ぶ特急大雪号が廃止となり、代わりに一般形車両のH100形による特別快速大雪号が設定されること(旭川―網走間結ぶ「特急大雪号」廃止へ! 3月改正でH100形による特別快速に…車内設備はどうなる?)や、札幌―旭川間を結ぶ特急カムイ・ライラック号の早朝と深夜の運転が取りやめとなること(札幌―旭川「カムイ・ライラック」、3月改正で早朝深夜便の運転廃止 有識者「経費節減以上に売上減」心配)はこれまでの筆者の記事でも解説した。
特急北斗号、おおぞら号の一部の列車では時間短縮
前向きなニュースとしては、札幌―函館間を結ぶ特急北斗号と、札幌―釧路間を結ぶ特急おおぞら号の一部列車でスピードアップが図られる。報道によるとこれらの狙いは、「高速バスや航空機との競争が激しさを増す中、速達性を高めて利用者の増加を図る」としている。
しかし、札幌―函館間の高速バスは、バスドライバー不足から昨年便数が半減されていること。さらに、今年8月に豪雨災害により石勝線が寸断され、札幌―帯広・釧路間の特急列車が運休になった際や、11月に函館本線で貨物列車脱線事故が発生し長万部―函館間で特急列車のバス代行輸送が行われた際には、都市間航空バスや航空便に予約が殺到するなどして、北海道の交通網の脆弱性を露呈した。少なくても北海道の長距離都市間輸送においては、JR北海道に一定の優勢性があることは明らかなことから「高速バスや航空機との競争が激しさを増す」という状況認識が本当に正しいのかはいささか疑問が残る。
所要時間が短縮される特急北斗号は、札幌駅を朝6時に発車する2号で、ダイヤ改正以降は伊達紋別、大沼公園、五稜郭駅が通過となり、函館駅までの所要時間は4分短縮の3時間29分となる。かつて、札幌―函館間では最高130km/h運転により最速2時間59分で運行していた時期もあったが、2011年の石勝線特急列車脱線事故などの影響を受けて、2013年から最高速度を120km/hに落として列車を運行するようになった。
また、特急おおぞら号では、札幌駅を13時55分に発車する7号で、追分、新夕張、池田、白糠の各駅が通過となり、帯広までは2時間21分、釧路までは3時間54分と、所要時間は25~30分短縮される。
青春18きっぷでの札幌方面から帯広・釧路方面の移動は困難に
しかし、新夕張駅などの通過により所要時間が短縮となる特急おおぞら7号については、現在は1日2.5往復まで運行が減らされている追分―新夕張間を運行する普通列車に新夕張駅で接続できる数少ない列車であったことから、青春18きっぷなどで新夕張―新得間の乗車特例を活用して、石勝線を乗り通すことはより一層困難となりそうだ。
新夕張―新得間には普通列車の運行がないことから、新夕張―新得間の区間内で乗り降りする場合に限り特急券不要で特急列車に乗車できる乗車特例が設けられている。札幌方面からこの乗車特例を活用して新得方面に向かう場合には、現在は以下の2つの乗り換えパターンが利用できる。
<パターン1>
・千歳 11:35 → 12:37新夕張 石勝線 新夕張行
・新夕張15:07 → 16:12新得 特急おおぞら7号 釧路行
<パターン2>
・千歳 17:26 → 18:23新夕張 石勝線 新夕張行
・新夕張18:32 → 19:33新得 特急おおぞら9号 釧路行
3月ダイヤ改正以降は、特急おおぞら7号が新夕張駅通過となるため、次に新得駅に向かうためには、現行ダイヤでは新夕張駅を17時4分に発車する特急とかち5号まで待たなければならず、待ち時間はこれまでの2時間30分から4時間27分に延びることになる。普通列車のダイヤが現在のまま維持されるかはまだ不明ではあるが、現行通りだと仮定したとしても、ダイヤ改正以降は、青春18きっぷなどを活用しての札幌方面から帯広・釧路方面の移動は難しくなりそうだ。
(了)