札幌―旭川「カムイ・ライラック」、3月改正で早朝深夜便の運転廃止 有識者「経費節減以上に売上減」心配
JRグループは例年12月15日前後に3月のダイヤ改正の概要を発表しているが、この正式発表に先立って北海道新聞の報道により、JR北海道のダイヤ改正の内容が明らかにされた。このダイヤ改正により、旭川―網走間を結ぶ特急大雪号が廃止となり、代わりに一般型車両のH100形による特別快速大雪号が設定されることは、筆者の記事(旭川―網走間結ぶ「特急大雪号」廃止へ! 3月改正でH100形による特別快速に…車内設備はどうなる?)でも詳しく解説した。
このほかには、札幌―旭川間を結ぶ特急カムイ・ライラック号の早朝と深夜の運転が取りやめとなる。運転が取りやめとなるのは旭川駅を朝5時18分に発車する特急ライラック2号と、札幌駅を23時5分に発車する特急カムイ47号。報道によると、JR北海道はこれらの列車について利用者が少ないことを理由に挙げ、早朝と深夜の運転を取りやめる代わりに、期間限定で走っている夕方の臨時列車を定期列車化することで1日の運行本数は変えないとしている。
しかし、ある旭川市民は「これまで始発のライラック号に乗れば、新千歳空港駅に7時30分に到着できていたことから、朝の航空便を利用しやすかったが、出張などの際に行動が制限されることになる」と話していた。また、あるJR東日本OBの有識者は「札幌―旭川間の片道運行については、運転士と車掌の人件費と動力費でおそらく3~4万円程度。線路保守や車両の固定費にかかる部分については金額が変わるわけではないので、1往復程度の運行を取りやめたところで節約できる金額はたかが知れており、早朝と深夜の運行を取りやめたことで経費の節減以上に売上を落とすことにならないかが心配だ」と筆者のもとにコメントを寄せてくれた。
このJR東日本OBによると、「えきねっと割引やSきっぷの価格から客単価を仮に2,700円とした場合、少なくとも15人が乗車すれば変動費の部分については賄うことができる」という。ライラック号は6両編成で定員は345名、カムイ号は5両編成で定員は283名であるが、「JR北海道は単純に乗車率だけを見て意思決定をした可能性がある」と警鐘を鳴らした。
(了)