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これぞ空飛ぶクルマ!富士山もほぼ届くPAL-V飛行性能とは

タワーマン元航空管制官
(写真:ロイター/アフロ)

地上を車のようにスイスイ走り、渋滞や道なき道は飛んで移動…そんな画期的な技術を持つPAL-Vが未来の移動手段として注目されています。一見するとゴツい車のようですがスイッチひとつでプロペラが広がり、走行モードから飛行モードへと数分で変形します。

PAL-Vは未来の移動手段に革命をもたらす可能性を秘めています。公式ホームページの説明によれば、地上走行と飛行を組み合わせることで欧州域内の4万箇所近い飛行場へのアクセスが可能となります。気軽に個人で操縦できれば、通勤や旅行の自由度は飛躍的に向上するとされています。

飛行性能は既存の航空機を超える!上昇は富士山の高さまで

その具体的な飛行性能は、400〜500kmの航続距離と11,000フィートの最大高度を実現しているとのことです。11,000フィートは自家用ヘリコプターやプロペラ式のセスナ機よりも遥かに高い上昇性能であり、富士山が12,388フィートの高さですので低酸素症にはならない通常利用の限界くらいと考えてよいでしょう。

また、操縦方法は簡易的かつ安全に飛行できる設計となっており、既に欧州の航空当局EASAの公式認証を受けています。PAL-Vの研究開発チームは常に新しい技術を追求し、空飛ぶクルマの実現に向けて、空と地上をシームレスに移動する新たな移動方法を作り出すことを目指しています。

実際の離着陸場は飛行方式基準に大きな課題

しかしながらPAL-Vに限らず、空飛ぶクルマは飛行方式基準の観点で大きな課題があるといえます。航空機の離着陸は周辺に障害物がない場所で行う必要があるため空港、飛行場、ヘリポートは制限表面と呼ばれる周辺の高さ制限を超える物件、建物がない場所に設置されています。例えば車のように走り、ショッピングモールに備え付けの駐車場から飛び立つようなことは、飛行の安全性を確保する観点から許可されないということです。

見た目にもかっこいい乗り物で夢は大きく広がりますが、実現のために超えるハードルもまた高いということです。

PAL-Vの主な特徴

  • 5分で車から航空機に変形
  • 400-500kmの航続距離
  • 11,000フィートの最大高度
  • 操縦は簡易的、安全に飛行可能
  • 世界最高水準の航空基準を満たす

PAL-Vについて

PAL-Vは、オランダに拠点を置く航空機メーカーで、革新的な技術で未来の移動手段を創造し、空と地上の融合を実現することを目指しています。

引用:

https://www.pal-v.com/en

https://www.youtube.com/watch?v=fFW_0C7yFCI

元航空管制官

元航空管制官で退職後は航空系ブロガー兼ゲーム実況YouTuberとなる。飛行機の知識ゼロから管制塔で奮闘して得た経験を基に、空の世界をわかりやすく発信し続ける。

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