新千歳空港管制塔新設、国交省と自衛隊の分担運用へ
新千歳空港といえば、北海道の空の玄関口として、国内外から多くの観光客、ビジネス客が利用する重要な拠点です。そんな新千歳空港に、国内3番目の高さとなる予定の新管制塔が建設中です! 2028年9月の完成に向けて、2026年4月から工事が進められる計画となっています。
新管制塔の概要
高さ: 約105メートル(国内3番目)
総工費: 約85億円
完成予定: 2028年9月
場所: 現在の管制塔から南約700メートルの位置
建設の目的:
- 老朽化した管制システム、機器、設備の更新
- 空港の発着能力拡大
- 新たな航空管制方式等への対応
国交省と自衛隊、新管制塔での航空管制はどう分担?
現在は新千歳空港と隣接する航空自衛隊千歳基地の航空管制を、航空自衛隊がまとめて担っていますが、2024年4月3日付けの読売新聞の報道によれば、新管制塔の完成後は、国土交通省の航空管制官も管制業務に参加する方向で検討が進められています。
大枠としては、新千歳空港側の滑走路2本と周辺の誘導路、国内線・国際線旅客ターミナル、貨物ターミナル等の民間機が主に利用するエリアを国土交通省の航空管制官が担当する区域とし、反対側の千歳基地側を今後も航空自衛隊が持つということが想定されます。
管制業務の引き継ぎは大仕事!?
しかし、管制業務は空港ごとに異なる資格が設定されるほど、一人前の管制官としてその空港の交通を扱えるようになるまでのハードルが高いと言われています。
特に、新千歳空港は「日本国内の発着回数全国6番目(2022年)」「軍民共用空港」「高い降雪頻度」などの理由により、国土交通省の管轄空港と比べても難易度が高く、特殊性の強い管制運用が求められます。
管制塔には何人の管制官がいるの?
管制塔は新千歳空港と千歳基地の間にあり、管制塔内で複数の航空管制官により役割を分担して、両面に分かれて管制業務を行っています。具体的には、滑走路の離着陸を担う飛行場管制席、地上管制席、調整席、補助席など、多数の管制官が同時に勤務しています。
当面の間は、国土交通省が新千歳空港側の管制を、航空自衛隊が千歳基地側の管制を担い、両組織間の調整を最小限とするため、合計4本の滑走路を2本、2本の独立運用ができるように出発・進入方式を見直していく可能性が考えられます。
上空の管制はどうなる?
そして上空の千歳ターミナルコントロールエリアのターミナルレーダー管制ですが、これは新管制塔の共用後も引き続き自衛隊が担うことになるでしょう。
千歳進入管制区というさらに上空の管制は、新千歳空港・千歳基地の他に札幌丘珠飛行場、函館空港の空域にもまたがる広大なエリアを有しています。この業務は管制塔の新設にあまり影響を受けないということ、またレーダー施設自体が防衛省管轄であるため、上空の管制は引き続き自衛隊が担うものと想定されます。
※これらはあくまで執筆者の現時点における考察であり、国がこれから具体的な検討を進めるものであることにご留意ください。
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