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「国民的美少女」グランプリから7年、『大奥』出演の井本彩花 「バチバチしながら20歳の自分らしく」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
オスカープロモーション提供(衣装協力/ジョイフル恵利、振袖ハクビ)

2017年に「全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを受賞し、デビューした井本彩花。当時13歳から昨年で20歳になった。恒例のオスカープロモーションの晴れ着撮影会の際に、この1年の変化や18日にスタートするドラマ『大奥』の話などを聞いた。

メンタルを安定させる方法を見つけました

――晴れ着撮影会には7回目の参加になりますが、毎年気持ちは変わっていきますか?

井本 2023年は1年が本当にあっという間だった感覚です。20歳になって楽しいことが増えたからか、1日1日が充実していて。特に何もない日もありますけど、メンタルを安定させる方法を見つけた気がします。

――どんな方法なんですか?

井本 ちゃんと人に話すべきだなと。私は悩みごとを溜めてしまうタイプで、家族にもお仕事のことは言わないんです。ただ私の活躍している姿を見て喜んでほしくて。でも、信頼できる友だちや大学の先生に相談に乗ってもらうようになってから、心にゆとりができた感じです。

――今回の晴れ着撮影会では、最年少で中3のギュナイ滝美さんや大角ゆきさんが「高校生になったら」という話をしていました。井本さんにもそんな時期がありましたよね。

井本 そうでした。もう6年も経ったんですね。私の高校時代はコロナ禍でほぼ1年なかった状態で、修学旅行とかイベントは全部中止になってしまって。友だちとも全然会えなかったので、今の高校生の皆さんにはこの瞬間を本当に楽しんでほしいです。

ビールは初めて飲んだときから「おいしい!」と

――20歳になった実感はどんなときに感じますか?

井本 10月が誕生日でまだ2ヵ月しか経っていませんが、友だちと居酒屋で飲めるようになってから、より話に花が咲くようになりました。人生のこと、恋愛のこと……。「高校生の頃はこんなに深い話をできなかったよね」と、大人になったことを感じています。

――「ビールが一番おいしく感じます」とコメントされていますが、20歳になったばかりだと、ビールは苦く感じませんでした?

井本 私はそれはなかったです。初めてビールを飲んだのは焼肉屋さんで「何これ? おいしい!」となりました。でも、毎日のように飲んではいないですよ(笑)。お仕事でひと頑張りしたとき、自分へのご褒美にしています。

――お酒での失敗はないですか?

井本 失敗はないですけど、一度だけ寝てしまいました。『(仮面ライダー)リバイス』のスタッフさん何名かに20歳のお祝いをしてもらって、マッコリを初めて飲んだんですね。そしたら、視界がボヤけてきて(笑)。そのあとにウーロンハイも飲んでしまって、ものが二重に見えてきました。「これはまずいな」と思ったら、気づくと眠っていて(笑)。周りには迷惑を掛けてないので、良かったです。

あそこまでラブラブするのはキツイです(笑)

――仕事では昨年、ドラマに2本レギュラー出演されて、『転職の魔王様』では奥さん役でした。

井本 ビックリしましたね。この年で既婚者の役を演じるとは。

――一緒にキッチンカーを営むラブラブ夫婦で。

井本 私はあそこまでのラブラブはキツいです(笑)。役だからできましたけど、プライベートではツン、ツン、デレみたいな割合だと思います。オンエアを観て「あーっ!!」となってました(笑)。

――特に印象的だったり、照れくさかったラブラブシーンというと?

井本 何だろうな? いろいろラブラブやりすぎて……。でも、後半は夫婦ゲンカをしては仲直りをしていて、世の中の夫婦はこんな感じなのかなと思いました。

――井本さんの結婚生活の理想はありますか?

井本 私は家事は全部母任せで、料理もできないし、洗濯機を回したこともなくて。自分が奥さんをやっている姿を想像できません。母にも「何かひとつくらいやりなさい」と言われながら、甘えてしまってダメなんです。やらざるを得ない状況になったら、やると思いますけど(笑)。

時代劇で昔の言葉はひと言ひと言に気をつけて

――1月からは『大奥』に出演されます。時代劇は2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』のお市役以来ですが、やっぱり現代劇とは違いますか?

井本 台詞も昔の言葉で、たとえば「そなた」は下がるのでなく上がるんです。ひと言ひと言に気をつけたり、所作でも打ち掛けで歩いたり袖をはらったり。腰回りが縛られていて上半身が固まっちゃいますし、日本舞踊を披露するシーンもあって、そのお稽古で筋肉痛になりました(笑)。

――それはキツそうですね。

井本 1日で振りを付けてもらって、動画を撮って先生に「こうしよう。ああしよう」と教わりました。きれいに見せられるように復習しています。

――バレエとはだいぶ違いましたか?

井本 違いました。バレエは外股ですけど、着物で踊るときは内股ですし、腰を低めにして重心を落とさないといけない。私はバレエをやっていたので体が伸びてしまって、そこが難しいです。

「こんなことをやるんだ」と思いながら演じてます

――時代劇は自分では観ていました?

井本 それこそ『大奥』は小学生の頃に観ていた記憶があります。話の内容より、女性だけの華やかさに興味を惹かれました。いつか自分もこういう世界に入ってみたいという願望があったので、叶えることができて嬉しいです。

――撮影現場も豪華絢爛な感じですか?

井本 皆さんのお衣装が豪華で、キャストの方たちもおきれいで、見とれちゃいますね。それでドロドロ、バチバチしていて。

――井本さんもドロドロに関わるんですか?

井本 私の夜霧という役は、小芝(風花)さんが演じる主人公の倫子とバチバチな関係です。側室になりたいからと倫子を引きずり降ろそうとして、「こんなことをやっちゃうんだ」と思いながら演じています。

――強い役なんですか?

井本 周りに比べたら、そこまで強くはないです。設定的には育ちが良くて、年上にヨシヨシされながら御中﨟というところに上ってきて。バチバチはするけど、性格は悪いほうではないです。

周りに流されず自分の軸を持って

――夜霧役について、あまり悩むことはありませんか?

井本 演技でそこまで悩むことはないですけど、台本を初めて読んで漢字が多いなと(笑)。普段から本は読んでいても、慣れない言葉で書かれていると、内容を頭に入れるのにちょっと時間が掛かります。「私」でも小芝さんの役なら「わたし」と読みますけど、自分の立場だと「わたくし」と読まないといけないとか、そういうこともあります。

――育ちの良さは醸し出そうとしているんですよね?

井本 そこは意識しています。細かいところから個性を表現できたら。他のキャストさんが年上の方たちで、初めはマネをしないといけないかなと思っていました。田中道子さんが私より格が上の役で、言葉に色気があって。「私もこんな言い方を」と一瞬考えましたけど、今は周りに流されず自分の軸を持って、年相応に私らしく演じようとしています。

(C)フジテレビ
(C)フジテレビ

「全然変わらない」と言われて嬉しかったです

――今回はオール京都ロケで、井本さんにとっては地元ですよね。実家から撮影に通っているんですか?

井本 あえて皆さんと同じホテルにしていただいてます。実家に帰ると気が緩んでしまうので、ホテルのほうがずっと引き締めていられるかなと。

――自分の中で京都人の血を感じる部分もありますか?

井本 わかりませんけど、京都の空気に懐かしさは感じます。クランクインして、時間があった日に、ずっと通っていたバレエ教室に顔を出しに行きました。中3のとき以来で、先生方には何も言ってなかったので、「エッ、彩ちゃん?」とビックリされました。

――バレエは小1から習っていたんですよね?

井本 はい。写真集を出したとき、表紙の大きいパネルを送ったんです。それが教室の入口に飾られていて、これは誰でも二度見するよなと(笑)。先生たちといろいろ話して、「昔と全然変わらないね」と言っていただけたのが、すごく嬉しかったです。

――芸能人っぽくなってなかったと。

井本 「ツンツンしてなくて安心した」と言われたので、「ずっとこのままでいますね」と答えました。謙虚さを忘れないことはずっと心に留めていて、特別に意識しなくても変わらずにいられたらいいなと思います。

大学生同士で壁は作りたくないです

――デビュー前の友だちとのつき合いも続いていますか?

井本 一緒にバレエを習っていた1コ下の幼なじみとは、10年以上のおつき合いです。今アメリカでバレエをやっていて、ちょうど京都に帰ってきていたので、教室に行った日に再会しました。大人になって身長もすごく伸びていて、親心みたいに嬉しくなりました(笑)。

――大学でも友だちはいるんですか?

井本 もちろんです。でないと、大学は無理です。1人ではやっていけません(笑)。

――そこでも芸能人としての壁はなく?

井本 大学生同士として壁は作りたくないです。自分からこういう仕事をやっていることは言いません。先生でも1人、芸能界のお仕事を尊重してくださる方がいて。その先生とは通じ合って、私のカウンセラーみたいになって、すごくお世話になっています。

カプサイシンが無理な舌になって

――1年前の『警視庁アウトサイダー』の取材では、ゲームの『原神』にハマっているとのことでしたが、今も続いているんですね。

井本 いまだにやっています。私には珍しいことで、2023年は『原神』に出会えて本当に良かったです。ストーリーが本当に面白くて飽きないし、キャラクターデザインも良いし、何もかもが最高! 最近は音楽も『原神』のBGMしか聴いていません。休みの日は絶対1日じゅうやっています。

――あと、晴れ着撮影会の囲み取材では、「急に辛いものが食べられなくなった」との話がありました。そんなことがあるんですね。

井本 本当ですよね。20歳になる2~3ヵ月前に、お店でキムチを母と食べていたとき、「待って。いつもと味が違わない?」と聞いたら、「何言ってるの? 同じだよ」と言われて。そこから何かが狂い始めました。キムチもチゲもチョリソーもダメ。カプサイシンが無理な舌になって。それが去年、一番印象に残った出来事です(笑)。

――今年の年末の晴れ着撮影会では、「主演をしたのが一番の思い出」みたいに言えたらいいですね。

井本 ドラマだけでなく映画にもチャレンジしていきたいですし、オーディションでも結果を残せるように努力していきます。

オスカープロモーション提供
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Profile

井本彩花(いもと・あやか)

2003年10月23日生まれ、京都府出身。2017年に「第15回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリ。同年、ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』で女優デビュー。主な出演作はドラマ『さくらの親子丼3』、『桜の塔』、『仮面ライダーリバイス』、『警視庁アウトサイダー』、『転職の魔王様』など。1月18日スタートのドラマ『大奥』(フジテレビ系)に出演。

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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