NTTドコモ dポイント、Amazon提携で何が変わる?楽天があるからこそ日本のPrime料金は安い
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/01730298/title-1712891177082.jpeg?exp=10800)
NTTドコモとAmazonジャパンは2024年4月10日(水)、ポイントサービスで協業することを発表した。
dポイントカードは国内で1億人規模が所有するポイントサービス
□Amazonにおいて、他社のポイントを獲得、利用できるのはdポイントが初
□ドコモの回線契約があるユーザーはドコモを通じて、Amazonプライムの月間プランに登録するとdポイント(期間・用途限定が毎月120ポイント還元される。
□Amazonプライムに登録したユーザーでexiomo、ahamo、ギガホに契約、あるいは60歳以上のユーザーがd払いで決済を行うと、注文額の1%のdポイントが貯まる
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d9c41af8e506ec919f8b3554de5d1ffd2f6ea0d6
□ドコモの回線契約がなくても、アマゾンとdポイントのアカウントを連携させた利用者に対し、5000円以上の買い物で1%のdポイントを還元する。さらにd払いで支払うと0.5%のポイントが加わる。これとは別にアマゾンポイントも付く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC056KB0V00C24A4000000/
□「Amazonでの買い物でQRコード決済によるポイント付与ではなく、他社(=Amazon以外の会社)のポイントを獲得し、かつ利用もできるのは、dポイントが初めて」(ドコモ広報)https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2404/10/news179.html
■Amazonにとっては、『dポイント』によるポイント加算のメリット
Amazonのメリットは、Amazon側がポイント増加を負担せずに、ユーザーの還元率が増えることだ(NTTドコモ負担によると想定)。
マーケットプレイスである。『Amazon』にとって、最大のライバルは楽天ポイントの経済圏である『楽天市場』であり、PayPayやLYPプレミアムの経済圏である『ヤフーショッピング』である。それらよりも結果として還元率が高くなるケースがあるのは良い機会創出である。
■Amazonでのdポイント活用方法
□Amazonで1回あたりの合計注文金額が5000円(税込み)以上の買い物をすると、決済額の1%分のdポイントがたまる。1回あたりの還元上限は100ポイントだ。d払いで支払いをすると、200円で1ポイントたまり、1ポイント1円として利用できる。
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2404/10/news179.html
この条件だと、5,000円の買い物で1%50円のdポイントが貯まる。
最大100ポイントなので1万円の買い物で最大100円分のdポイントの還元である。
d払いの設定で、5,000円の買い物では、200円で1ポイントなので、25ポイント。
5,000円で75ポイント還元。1.5%の還元率となる。
1万円でも、200円で1ポイントなので、50ポイントとなり、
1万円で合計150ポイント還元。1.5%の還元率となる。
□(1)さらに、「eximo、ahamo、ギガホを契約しているユーザー」と「(2)60歳以上のユーザー」が、Amazonでの支払いにd払いを利用すると、基本還元分の0.5%に加え、1%のdポイント(期間・用途限定)が追加でたまる。先に「5000円(税込み)以上の買い物をすると、決済額の1%分のdポイントがたまる」と記述したが、(1)と(2)の条件を両方満たした場合、追加還元率が2%になる。
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2404/10/news179.html
還元率がやや複雑になるが、irumo以外の高価格帯のドコモユーザーであり、60歳以上という高齢者は amazonで、常に2%の(期間・用途限定分含む)還元率が適用される。
今回の発表では、還元率適応の期間が限定されていないのも、好意的に受け取ることができる。
■Amazonの国内投資は6兆円以上、2022年は1.2兆円以上
ちなみに、
2010年から2022年にかけてAmazonは、日本市場で6兆円以上を投資し、2022年だけで 1.2兆円以上投資した』という。
2024年4月10日、Microsoftが日本に過去最大の投資として、2年間で29億ドル(約4,400億円)を投資すると発表したばかりだが、Amazonはたった1年でもMicrosoftの5.5倍以上の投資をしていることとなる。
それらの投資のほとんどは、日本におけるAmazon Primeの会員料金の設定だろう。幾度にもわたる送料無料化の配送網側との交渉や、世界と比較すると激安の『月額600円、年間5,900円』(2023年8月価格改定)の価格に設定されている。
■AmazonPrimeの世界的な安さの原因は楽天経済圏のおかげ
日本の会員数の伸びしろが、まだ十分にあるからだ。
□アマゾンの(20)19年の総売上高に対する地域別の比率は
米国が69%、ドイツ7・9%、英国6・2%、日本5・7%と続く。
この4カ国で約90%を占める。
□米国の会員数は世界全体の1億5000万人の69%とすると単純計算で
1億350万人になる。日本は5・7%のため、売上高比率に基づくと850万人となる。アメリカが上振れしているとすると、500万ー850万人とみておけば大きく外れることはないだろう。
https://newswitch.jp/p/22490
米国人口3億人の1億人ということは、33%。日本で単純に33%と考えると、
3,960万人に当たる。つまり、現在日本でのPrime会員が1,000万人にも満たないとすると、あと、4倍も伸びる可能性があるという計算が成り立つ。
まだ4倍にも伸びる可能性があるのに、物流コストがあがっても、即、会員コストを値上げするという選択肢はない。だから、日本の値上げ幅は非常にゆるやかなのだ。
■Amazon Primeの価格は世界で重み付けが変わる
順位国 年間会費(日本円)
1アイルランド18,207円
2アメリカ合衆国18,070円
3イギリス 15,960円
4ドイツ 13,755円
5カナダ 9,603円
6オーストラリア 7,189円
7 日本 5,900円
8 インド 2,623円
出典:Nerdwallet 2024
https://www.nerdwallet.com/article/finance/amazon-prime-benefits-cost-worth
また、物流コストを考えると、日本が高騰化して人材不足といっても、世界では日本よりも広大で、人口密度が低く、物流コストがさらにかかるので価格への転嫁もいたしかたなく反映されている。
しかし、最大のAmazonPrimeの価格を抑えているのが、実は、『楽天市場』の存在が大きいと考えられている。
![出典:ECDB](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/01730298/image-1713152544964.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
2023年度で、比較すると 日本のamazon.co.jpの売上は、推定129億3,900万ドル(1兆9,408億円@150円)であり、日本への投資額1.2兆円とほぼ同等といっても過言ではない。売上と同等額の投資ができるというのも世界企業のAmazonならではだ!
楽天の売上も129億3,900万ドル(1兆9,408億円@150円)であり、楽天の売上も、2兆713億円と、非常に近いギリギリのラインで戦っているまさにライバル中のライバルである。
![出典:楽天IR](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/01730298/image-1713152599140.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
今回の『NTTドコモ dポイント』との提携も『楽天』経済圏を追い上げるパートナーとしては、ECを強化したいNTTドコモと、楽天との差を縮めて追い越し、Prime会員を増やし、楽天との差を空けたいと願うAmazon.co.jpの世界でも異質な戦い方を表している現象といえるだろう。
エンドユーザー視点で考えると、日本のAmazonPrime価格を維持してもらうには、楽天にも頑張ってもらわないといけないという奇妙な構図が成立している。