定年後に役立つ資格は何か?300人のシニアに聞きました。「あなたが取得して良かった資格は何ですか?」
人生100年時代と言われる今、老後の長生き不安が高まっています。「健康」「お金」「介護」が、シニアの3大不安要因と言われますが、「お金」の不安は、出来るだけ働き続けることで多少は解消することができるかもしれません。
とは言っても、どんな仕事でも良いという訳でもないでしょう。「職業に貴賎なし」と言われますが、ある程度プライドを持って働けることが、仕事に対する意欲と生きがいをもたらしてくれることになるでしょう。
そのためには、もしかすると、何らかの専門知識の証明となる「資格」を保有していることが、仕事継続の機会を高め、年を取ってからも働き続けることに有効に作用するかもしれません。
そこで、60歳以上のシニア300人に、「あなたが取得して良かったと思う「資格」や「技能」は何ですか?」をお伺いしてみました。以下、回答資格数に基づいてランキングした資格のベスト9をご紹介いたします。
第9位 看護師免許
・「看護師、保健師。どこでも役に立つ国家資格」(61歳・女性)
・「看護師免許、病の早期発見や処置などの判断ができる」(67歳・女性)
・「看護師です。働く場所に困らない」(61歳・女性)
第9位の資格は看護師でした。日本で看護師として働くには、高校卒業後、「大学または3年以上の看護系教育」を受け、看護師国家試験に合格する必要があります。その意味では難易度の高い資格ですが、最近は慢性的な看護師不足ということもあり、働き続けることに困ることはないようです。また一定の医療知識を保有することも、高齢期における生活には役立ちそうです。
第8位 調理師免許
・「調理師。料理の基本を勉強出来た」(73歳・男性)
・「調理師免許です。料理人になりたくて取得しましたが3年で父親の跡を継いだために辞めました。現在は自宅での食事を作る事で生かされています」(60歳・男性)
・「ふぐ調理師。国家資格ではなく都道府県別の資格ですが、国家資格である調理師免許だけより履歴書でワンランク上のアピールが出来た気がします」(60歳・男性)
第8位は調理師免許です。調理師免許は、看護師免許と同じく国家資格であり、調理師法に基づき都道府県知事が行う調理師試験に合格し、各都道府県の調理師名簿に登録される必要があります。免許取得には、一定の基礎条件や調理経験もしくは調理師養成施設の卒業が必要となります。調理師として一定の経験を積めば独立開業の道も開けます。その意味で長く働き続けるためには役に立つ資格と言えそうです。
第7位 英語検定
・「英語検定2級です。日常語程度は会話できるので、海外出張のメンバーに選出されやすかった」(75歳・男性)
・「技術翻訳(英語)。それで生計を立てることができている」(63歳・女性)
・「英国留学中に取ったケンブリッジ ファースト サティフィケートという英語検定。取得に向けてがんばったので、英語運用の力がついた。その後の就職にも役立った」(62歳・男性)
第7位は英語能力に関する資格でした。グローバル化がすすむ現在でも、外国語会話能力は、ビジネス、観光を問わず役立つ能力と言えます。一方で、最近ではAIによる自動翻訳なども進んできており、より簡単に外国語を楽しめる環境は整ってきていると言えるでしょう。
第6位 宅地建物取引士(宅地建物取引主任者)
・「一級建築士、宅地建物取引主任者です。生涯の職業になりました」(81歳・男性)
・「宅地建物取引士です。相続した賃貸物件を管理、運営していくのに多少は役に立っています」(67歳・男性)
第6位は宅地建物取引士でした。宅地建物取引士は、宅地建物取引の際に行なわなければならない「重要事項説明」などの独占業務を担っており、不動産業界では必須の資格です。
第5位 介護職員初任者研修(ヘルパー2級)
・「介護職員初任者研修。50代から就職できました」(73歳・女性)
・「介護職員初任者研修。実際に介護施設で働く事が出来た事と、親の介護の時に役立った」(68歳・女性)
・「ホームヘルパーの資格。資格取得と介護施設での経験で学んだスキルが現在家族の介護に役立っています」(70歳・男性)
介護職員初任者研修は、介護の基礎的な知識やスキルを身に着けることができる資格で、資格を取得するためには、講義と演習で構成される約130時間の研修受講と、全課程修了後の修了試験に合格することが必要となります。慢性的な人手不足が叫ばれる介護業界においては常に求められている資格です。
第4位 教員免許
・「教員免許。近所で家庭教師を頼まれます」(66歳・男性)
・「保育士と教員免許です。今も仕事させてもらえています」(65歳・女性)
・「教員免許です。バイトもしやすかったし、持っていてよかったと思う」(72歳・女性)
・「教員資格、幼稚園教諭資格、学童保育資格。華道師範資格。定年退職後にパートや趣味に現在も資格で使え収入に役立っています」(65歳・女性)
第4位は教員免許です。教員免許は、一般的には教職課程のある大学で所定の教育を受けることで、教員免許状の取得が可能となります。看護師と同様、最近は教師不足が喫緊の課題となっており、定年後の再任用期間を過ぎても非常勤として雇用されるケースも増えてきているようです。
第3位 危険物取扱者
・「危険物取扱者です。仕事に活かせました」(73歳・男性)
・「甲種危険物取扱者。生活の中で起こる様々な危険を予知し、対処することができます」(74歳・男性)
・「危険物取扱者、簿記、衛生管理者、等々取得し仕事でのスキルアップになりました」(74歳・男性)
第3位は危険物取扱者です。危険物取扱者はガソリン、マグネシウム、塩素酸カリウムなど、消防法に基づく危険物の取扱いに必要となる国家資格で、内容に応じて甲種、乙種など幾つかの種類に分かれています。この資格の取得者は圧倒的に男性が多かったですが、おそらく現役中の仕事を通じて取得された方が多いのでしょう。
第2位 日商簿記2級
・「日商簿記2級 経理業務には必須」(63歳・男性)
・「日商簿記2級です。システム構築時に大変役立ちました」(71歳・男性)
・「日商簿記2級です。経理財務税務申告等の業務に貢献してくれたと思っています」(82歳・男性)
簿記資格は、会計実務の実務処理や財務諸表の分析など、経営管理に役立つ知識としてビジネス上で役立つ資格で、今回お伺いした300名中17名の方がこの資格を取得されておりました。
第1位 自動車運転免許
・「運転免許 日常生活に便利」(71歳・女性)
・「運転免許・生活に必要、身分証明できる」(61歳・女性)
・「普通運転免許証。車が運転出来ると便利だから」(72歳・女性)
・「車の運転免許。他の資格は今の自分に何も役立っていませんが、車だけはずっと生活に欠かせないものになっているから」(63歳・女性)
あなたが取得して良かったと思う資格第1位は自動車運転免許でした。300人中99名がこの資格と回答しており、日本国民のおよそ6割が保有しているという圧倒的な取得数を反映した結果となりました。
またこれ以外にも定年退職後に役立っている資格として以下のような回答がありました。
「産業カウンセラー資格。定年退職後の第二の人生において大いに役立っています」(65歳・男性)
「京都検定です。観光ガイドの仕事につきました」(73歳・女性)
「児童クラブ指導員。73歳ですが現役で雇用されております。資格のない人より時給も高いし、子供相手に精神的に楽しく若い気持ちでいられます」(73歳・女性)
「スキー、スケート、合気道、護身術などの指導員資格です。たまに講師で呼ばれて、お小遣い稼ぎになります」(66歳・男性)
回答数の多さによるランキングは以上となります。今回、回答いただいた資格種類は多岐に渡っており、その一部を紹介すると、算盤1級、ペン習字2級、利き酒師、ワインアドバイザー、食品衛生指導資格、総合旅行業務取扱管理者、毒物劇物取扱責任者、糖尿病療養指導士、スポーツウエルネス吹矢指導員、ノルディックウォーキング指導員、など、日本人の資格好きを改めて認識する結果となりました。
今回のアンケート結果を通じて、資格を持っていることが、自身の仕事や日常生活を送る上で「役立った」という数多くの回答をいただきました。年を重ねてからも、自分の興味ある資格にチャレンジすることは大切かもしれません。