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中国人か日本人か? 元通訳訴追で「Ohtani」認知度upの中、一般のアメリカ人がググった内容は

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
つい1ヵ月前までの光景(3月20日撮影)。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

大谷翔平選手の口座から不正送金したとして銀行詐欺容疑で訴追された元通訳の水原一平容疑者。12日(日本時間13日)、ロサンゼルスの連邦地裁に出廷したことが日米で大きく報じられた。

水原氏は2021年11月から24年1月にかけて、大谷選手の口座から胴元側に1600万ドル(約24億5千万円)以上を不正送金した疑いが持たれている。その莫大な被害額からこの事件に対するアメリカでの注目度は高く、地元のロサンゼルスタイムズや各スポーツ系メディアほか、ニューヨークタイムズ、USAトゥデイ、CNNなど全米の大手メディアでもこのニュースが連日報じられている。

当然、大谷選手への認知度や注目度はアメリカ国内で高まっており、これまで大谷選手についてそれほど知らなかった(野球ファンでない)一般の人も、大谷選手や水原氏についてグーグル検索しているようだ。

この事件をきっかけに、人々は大谷選手に関して「どんな疑問」を持ち、ググったのだろうか。

まず水原氏が出廷した日から1、2日間で、人々がグーグル検索した質問は以下のような内容だった(一例)。

グーグル検索の一部。スクリーンショットは筆者が作成。
グーグル検索の一部。スクリーンショットは筆者が作成。

  • 大谷の通訳はいくら盗んだか?
  • 大谷翔平は英語を流暢に話すか?
  • 大谷翔平はアメリカ市民か?
  • 翔平の身長と体重は?

ほかにも、人々が検索した質問は以下のような内容だった。

グーグル検索の一部。スクリーンショットは筆者が作成。
グーグル検索の一部。スクリーンショットは筆者が作成。

  • 大谷の通訳はいくら盗んだか?
  • 大谷翔平の通訳の給料はいくらか?
  • なぜ大谷翔平は英語が話せないのか?
  • 大谷はギャンブラーか?

など。

人々が実際にグーグルで検索したこれらの内容から見えてくるものがいくつかある。

まず、このニュースにおける人々の関心は、水原氏が大谷選手から盗んだ金額についてだった。

次に見えてくるものは、水原氏のアメリカでの知名度の低さ。彼はあくまで「大谷選手の通訳」という肩書きで(一部の間で)知られている人物であり、彼自身の名は一般的にそれほど知られていないようだ。

また幸か不幸か、この事件をきっかけに全米での認知度、注目度がさらに高まった大谷選手。彼の「英語力」についてググっている人も多いようだ。2018年の渡米以来、今でも常に通訳が横に付き、公の場で英語をほとんど話さないのはやや奇異に映っているかもしれない(アメリカでは英語は話せて当たり前と思われる風潮がある。訛りはアイデンティティの一部なので問題ない)。

さらに、英語に関するこれらの質問に対しての、グーグル検索の答えは以下のようなものだった。

  • 「彼は英語を話すことができるが、第一言語の方がより得意」
  • 「通常は通訳を同行させているが、今年1月のMVP賞の英語での受賞スピーチで皆を驚かせた」
  • 「大谷選手は日本の義務教育の一環で英語を学んできたことを認めたものの、その学習は一定の基準を満たす程度のもので、流暢に話せるほどには至らないものだった」

など。

(関連記事:筆者は今月4日の記事で、大谷選手がアメリカで真のスーパースターになるために、間違ってもよいから自らの言葉(英語)で発信することの重要性について触れた)

大谷選手の新旧通訳が話題。「通訳」という仕事について在米の通訳経験者の立場で考察してみた

人々に検索された内容は、ほかにこのようなものも見られた。

  • Where is Shohei Ohtani originally from?(大谷翔平はどこの国出身か?)
  • Does shohei ohtani have a green card?(大谷翔平は永住権保持者か?)
  • Are Ohtani’s parents Japanese?(大谷の両親は日本人か?)
  • Is Shohei Ohtani Chinese or Japanese?(大谷翔平は中国人か日本人か?)

など。

このような検索結果から、大谷選手ほどの野球界のスーパースターであっても、アメリカでは一般的にそれほど詳しく知られているわけではない(なかった)というのがわかるだろう。

最後に英語に関しては、ニューバランスのオリジナルスパイクについて大谷選手自身が英語で解説し、「翔平はかなり上手に英語を話すことが分かった」とESPNの実況アナウンサーが評価したという最新の報道もある。今年1月にニューヨークで行った受賞スピーチも評判が良かったし、彼が英語で発信する機会がこれからもっと増えていけば、一般の人々が抱く大谷選手への好感度は確実に上がっていくことだろう。

  • どこに住む人が英語でのグーグル検索を行ったかは厳密には不明だが、このニュースは日米での注目度が特に高く、また質問内容もアメリカに関連したものが多いため、本稿では便宜上、英語で検索したのは「アメリカ人」とした。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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