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大谷翔平の結婚と妻公開がアメリカに与えた衝撃はどれほど? 米メディア現地報道のリアル

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
韓国に到着した大谷翔平夫妻。(写真:ロイター/アフロ)

ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が電撃結婚を発表してから半月。ついに大谷選手と球団のSNSで、妻となったお相手とのツーショット写真などが初公開された。

これはベールに包まれていた妻の姿の「解禁」を意味したようで、ドジャースとサンディエゴ・パドレスの開幕戦で韓国に到着した際も、空港やホテルを移動する2人の姿が、日本同様にアメリカでも大きく報じられた。

野球に関心のない人にとっては「誰?」

さて、筆者は普段から日本にいる人から、アメリカでの大谷選手の評判を聞かれることがある。私がこの半月感じたのは、これまでも感じてきた現地アメリカでの大谷選手やその活躍へのリアクションと同じものだった。つまり野球ファン向けに大谷選手の結婚や妻公開は一大ニュースとして報道され、衝撃を与えたものの、野球に興味のない市民にとっては“どこ吹く風”であった。そもそも大谷選手の名前さえ知らない人もいるし、そういう人にとってはよく知らない野球選手が結婚したという話題は関心なしといった反応だった。つまり大谷選手の最近の衝撃ニュースへの反応は、アメリカでは野球ファンか否かで大きく二通りに分かれている。

結婚を大きく報じたメディアがある一方、まったく無関心のメディアも

このたびの結婚や妻の初披露について、アメリカでもスポーツ系メディアを中心に大きく報じられている。

ではスポーツ系以外の一般紙はどうだろうか。近年までアメリカ国内で発行部数が首位だった一般大衆紙、USAトゥデイは「大谷翔平がインスタグラムで結婚を発表し、世界に衝撃を与え何千人もの心を揺さぶって2週間」「ついに今日、妻のMamiko Tanakaが初披露となった」として、結婚や妻・田中真美子さんについて詳しく報じた。

一方、この話題についてまったく無関心の主要メディアもある。これまで大谷選手の活躍をいくつか報じてきたニューヨークタイムズは、大谷選手の結婚関連のニュースを(いまのところ)報じていない。

東海岸の別の有力紙、ワシントンポストでは、3月14日付で妻の写真公開についての記事が確認できるが、これはAPの記事(後述)を転載したもので、オリジナル記事ではない。つまりそれほど注目する話題として扱っていないことがわかる。

経済紙ウォールストリートジャーナルはこれまで、大谷選手がドジャースと7億ドルの契約を結んだ際に、そして犬を飼い始めた際にそれぞれ記事にしたが、今回の結婚や新妻発表についての記事は見つからない。

野球関連の話題を多く扱うマイアミ・ヘラルドはいくつも大谷選手の記事を扱ってきているが、結婚関連の話題では上記USAトゥデイの記事の転載に留まった。

中西部の主要紙と言えばシカゴ・トリビューン。ここでも結婚に関する同紙の記事はCNN系列のものを転載している。

ロサンゼルスタイムズは、さすがにドジャースの本拠地だけあって大谷選手の野球の話題が多い中、29日付で「大谷翔平は誰と結婚したのか? 『結婚式はしたの?』ドジャースのチームメイトは彼に妻がいることを知らず」と結婚の話題についても記事にした。ただ結婚関連のトピックスは今のところこれだけで、大谷選手の本業である野球の話題にフォーカスする同紙の姿勢が窺える。

  • ドジャースのX。ムーキー・ベッツ選手夫妻の写真と共に、大谷選手夫婦の写真も投稿した。

そのほかスポーツ紙以外の米主要メディアの報道

大谷選手の野球に関する話題を多く記事にしているAPは、今月14日付で「大谷翔平が新妻の写真をソーシャルメディアでシェア。妻は元プロバスケットボール選手だ」という記事を発表した。この記事は、前述のワシントンポストほか、NBCニュースやABCニュースなど主要メディアでも転載された。

ほかピープル誌やタイム誌など雑誌系のウェブニュースでは、「大谷翔平の妻は誰?田中真美子のすべて」「大谷翔平の妻、田中真美子とは誰?」などの見出しで、詳しく解説したオリジナル記事を出している。

MLBシーズンが今後本格的に開幕すると、アメリカのメディアでは大谷選手の本業である野球の活躍が話題の中心になるだろう。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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