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血液型は事前に知っておいたほうが良いですか?性格とは関係ないですか?

堀向健太医学博士。日本アレルギー学会指導医。日本小児科学会指導医。
(写真:イメージマート)

先日、『血液型不明』というトレンドワードがSNSを賑わしていました。

あるアイドルの方のプロフィールに、血液型不明と書かれていたことが発端のようです。

今は、『生まれたときに血液型を調べないのが普通』なのですが、一方で、調べるのが普通と思われる世代の方からは、不思議に思われたのでしょう。

そもそも、生まれたときに血液型検査はしなくなっている

イラストAC
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生まれたときに血液型を調べなくなった理由は、以前解説しました[1]。

『生まれたときから血液型が変わるから検査をしない、ではありません』。血液型の検査には主となる検査(オモテ検査)と、正しいかどうか確認する検査(ウラ検査)があり、小さいときにはその検査が一致しにくいからなのですね。

検査の正確性が確保しにくいので検査をしなくなったのです。

では、血液型を事前に知っておく必要性があるのでしょうか?

血液型を事前に知っておく必要性は基本的にはない

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基本的にはありません。

緊急輸血の際にも血液型をあらためて調べますし、実際に輸血して問題がないかどうか(適合しているかどうか)の確認検査を行うからです(交差適合試験といいます)。

血液型に関して、多くの方が『ABO型』と『Rh型』をご存知と思います。しかし、血液型の分類には、それ以外にもさまざまあり、『ABO型』と『Rh型』が適合していても、問題が起こることも稀にあるのです。

それでも、血液型は事前に知らなくてもいいですよっていう話を外来などですると、『血液型で性格の傾向を知りたいのです』といったお話をされる方もいらっしゃいます。

では、血液型と性格の傾向は関係するのでしょうか。

血液型と性格は関係しないという大規模研究がある

イラストAC
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『血液型と性格診断』の話題は、 1927年に日本から発表された学説から始まっていますが、当時は注目されることがなくていったん下火となりました。しかし、1971年に『血液型でわかる相性』という一般向けの本が大流行し、日本で広まった考え方になったと考えられています[2]。

では、実際に血液型と性格は関連があるのでしょうか?

2004年に、日本と米国において、計1万件のデータで血液型性格の傾向が検討されています。

血液型は性格の0.3%未満しか説明できないという結論となり、すなわち血液型と性格診断はできないと考えられています[3]。

そもそも人間の性格を4種類に分けることは難しいと思いますしね。

血液型と新型コロナは関連する?

新型コロナが流行し始めた時期に、A型やAB型の人は新型コロナに感染しやすくて重症化しやすいとか、O型のひとは感染しにくいとかといった話題がニュースになった覚えがあります。

血液型の話ってよく話題になりやすいのかもしれませんね。

その後、9研究をまとめた検討が、2022年になって発表されています。すると、ABO血液型と新型コロナ重症度は、関連しないようだという研究結果になっています[4]。

ですので、普段の診療のなかで、新型コロナと血液型に関してはそこまで心配しなくてもいいのかなと個人的には思っています。

さて今回は、血液型と、性格や新型コロナの重症度に関する話題を簡単に解説してみました。医学的に、血液型を事前に知っておく必要性はないと思ってよさそうです。

[1]血液型は、何歳から調べることができますか?

[2]EB NURSING 2003;3:388-93.

[3]Japanese Journal of Psychology 2014; 85:148-56.

[4]Postgraduate Medical Journal 2022; 98:e136-e7.

医学博士。日本アレルギー学会指導医。日本小児科学会指導医。

小児科学会専門医・指導医。アレルギー学会専門医・指導医・代議員。1998年 鳥取大学医学部医学科卒業。鳥取大学医学部附属病院・関連病院での勤務を経て、2007年 国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター)アレルギー科、2012年から現職。2014年、米国アレルギー臨床免疫学会雑誌に、世界初のアトピー性皮膚炎発症予防研究を発表。医学専門雑誌に年間10~20本寄稿しつつTwitter(フォロワー12万人)、Instagram(2.4万人)、音声メディアVoicy(5500人)などで情報発信。2020年6月Yahoo!ニュース 個人MVA受賞。※アイコンは青鹿ユウさん(@buruban)。

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