【獣医師が解説】寒い日、猫には温活が大切。意外と知られていない5つの落とし穴とは?
童謡の『雪』に「雪やこんこ 霰(あられ)やこんこ。降っても降っても まだ降りやまぬ。犬は喜び 庭駈けまはり、猫は火燵(こたつ)で丸くなる。」とあります。
猫は寒がりで温活が必要なことは割と知られています。その一方で、温活だけをしていると意外な落とし穴があるのです。今日は、そのことを獣医師が解説します。
1、ホットカーペットの上で低温火傷
ストーブなどをつけておくと危ないので、ホットカーペットをつけておく飼い主も多いと思います。猫のなかには、ホットカーペットがあまりにも気持ちがよすぎて動かないでいると、低温火傷をしている子がいます。
低温火傷になりやすい部分は、主にお腹です。毛が抜けて赤くなっています。普段はそれほど毛づくろいしない猫が、懸命にしていることがあれば、腹部をよく見てあげてください。
赤くなっているときは、かかりつけの獣医師と相談してください。そして、ホットカーペットがずっとついているのではなく、数時間すれば切れるようにセットしましょう。
2、ストーブなどの火の傍に近寄りすぎてヒゲが焼ける
診察をしているとヒゲの先が焼けてチリチリになっている子がいます。飼い主に尋ねると「寒がりでストーブの近くに来た」「鍋をしているところに近寄って来た」などと教えてくれます。
野生のネコ科の動物なら火に近寄って来ないかもしれませんが、室内飼い猫は、火の怖さをよく理解していないのか、近くに寄って来ますので、気をつけてあげましょう。
3、猫のヒゲは重要なの?
猫の口のまわりにあるヒゲを洞毛(どうもう)ともいいます。猫にとって、ヒゲは感覚器官のひとつなのです。そのため、ヒゲが焼けるとよくないのです。
ヒゲは、狭い隙間を通り抜けることを判断するときにも使います。それ以外には、空気の流れを感じとってそこに物があるかどうか判断します。
飼い主からすれば、猫のヒゲを見るとそのときの気分もわかるので、ヒゲは猫の感情を読み取るには重要です。口角を引いてヒゲが顔の横にあるときは、怒りの感情があるときです。
猫のヒゲは、他の体毛と違って、太くて体内に埋め込まれています。そのため、ヒゲで感じた振動を体に伝えやすいのです。そのため感覚器官なのです。
4、コタツの中にずっといて脱水気味になる
コタツの中が心地よいので、動かず水をあまり飲みに行かない猫もいます。犬は散歩に行った後に水をよく飲みますが、猫はそのようなことをしません。
室内飼いの猫なら、よく観察してあまり水を飲んでいない場合は、水入れにぬるま湯を入れて飲むように促したり、缶詰めで水分量の多いものをあげたりしてください。
猫が脱水になると、オシッコが出にくい「下部尿路症候群」や「腎不全」になりやすいので飲水量は大切です。
5、温活があまり必要でない猫
猫にもいろいろな種類があります。
以下のような寒い地方原産の猫は、被毛が厚いので寒さに強いです。
・ノルウェージャンフォレストキャット
・サイベリアンフォレストキャット
・メインクーン
逆にシャム猫などは、暑い地域の原産なので寒さには弱いです。
日本ではミックスの猫が多いのですが、愛猫の被毛を見て判断してあげましょう。多くの猫は、寒冷地原産ではないですので、温活は大切です。
まとめ
猫は寒がりなので温めてあげることは、大切です。
ただ温めてあげればいいというわけではないので、飼い主は猫の様子をしっかり観察して、上述のようなことがないようにしてあげてください。
そして脱水は万病の元なので、寒いところに水飲み場を置くのではなく、温かいところへ置きましょう。