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対サウスポーのKO率は100% 井上尚弥VSネリ戦でキーポイントになるパンチは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

開催まで10日を切ったボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一戦。王者の井上尚弥(31=大橋)と、挑戦者のルイス・ネリ(29=メキシコ)が対戦する。

ルイス・ネリ

ネリは超攻撃型サウスポーで、これまで多くのKO勝利を収めている。

戦績は36戦35勝(27KO)1敗。バンタム級からスーパーバンタム級に上げてからは、初黒星や苦戦も経験したが、ここ3戦は連続KO勝利を収めている。

過去には悪童と呼ばれ、計量超過やドーピングなど数々の問題を起こし取り沙汰されてきた。

しかし、3月に行われた試合発表会見では、終始黙り込み自分の非を認め謝罪した。

懸念されていた体重超過も、試合2週間前であと2キロほどと順調に減量できているようだ。

ネリが体重をオーバーした場合は、リザーブファイトとしてTJ・ドヘニー(アイルランド)が出場する。

謝罪から始まった試合発表会見、2ヶ月前計量や控え選手の事前決定など、まさに異例づくしの対戦だ。

井上尚弥とサウスポー

これまで井上は4人のサウスポーと戦ってきた。

一人目は、2014年に試合をしたオマール・ナルバエスだ。階級をあげた直後だったが、ダウン経験のない王者を4度KOし、圧勝した。鉄壁のディフェンスを誇るナルバエスからボディでダウンを奪ったのは衝撃的だった。

二人目は、2018年にWBSSの初戦で戦ったファン・カルロス・パヤノだ。試合では1ラウンドで井上がワンツーを決め試合を終わらせた。ワンツーが当てにくいサウスポーに対して一撃で試合を決めた。井上のベストバウトの一つだろう。

三人目は、2021年バンタム級防衛戦で戦ったマイケル・ダスマリナス。序盤で2度のボディ打ちでダウンを奪い圧勝した。

そして四人目は、前回の試合で戦ったマーロン・タパレスだ。こちらも10回KOで破っている。

四人全員をKOで破っていることから、サウスポーに苦手意識はないだろう。

特徴的なのはサウスポーへのボディ打ちだ。

右構えと左構えの対戦の場合、左構えの選手は急所であるレバーが前に出てしまう。狙うのが難しい位置ではあるが、井上はこの弱点を的確につき、仕留めている。

サウスポーのネリは、初黒星したブランドン・フィゲロア戦で、打ち合いの中でボディをもらいKO負けを喫している。

今回の対戦でも「ボディ打ち」がキーポイントになりそうだ。

写真:アフロスポーツ

ダイヤモンドベルト

今回の試合では、WBCから勝者にダイヤモンドベルトが贈呈されると発表されている。

2009年につくられたもので、過去には初の主要4団体を統一したバーナード・ホプキンスやマニー・パッキャオ、フロイド・メイウェザーなどレジェンドボクサーに与えられてきた栄誉あるベルトだ。

獲得すれば、このレジェンド達と肩を並べることになる。

海外の名だたるボクサーたちも井上を高く評価しているが、一部アメリカメディアからは、「なぜ井上はアメリカで試合をしないのか」との声があがっている。

国内での試合が多いため、このような話が上がったのだろう。

それに対して井上は、Xで下記のようにコメントしている。

この階級では、アメリカに対戦候補となる選手がいないのが正直なところだ。

既にスーパーバンタム級では無双状態の井上。今後どこまで駆け上がっていくのだろうか。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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