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「戦国の梟雄」宇喜多直家に謀略で消された3人の武将とは?

渡邊大門株式会社歴史と文化の研究所代表取締役
岡山城。(写真:イメージマート)

 現代社会においても、選挙などで数々の謀略が行われているかもしれない。「戦国の梟雄」と恐れられた宇喜多直家も数々の謀略で、ライバルの武将を消したので、そのうち3人を紹介することにしよう。

◎中山勝政

 勝政はかつて「信正」と言われていたが、近年になって勝政が正しいと指摘された。直家にとって、沼(岡山市)に本拠を置く勝政は舅だった。直家は主君の浦上宗景の命により、勝政の娘を妻とした。ほぼ同じ頃、島村盛実(宗景の家臣)と勝政が宗景に謀反を企んでいるとの噂が流れた。

 直家は宗景のもとに参上すると、盛実と勝政を討つべきだと進言した。直家は茶亭を作り、酒宴の席で勝政を殺害する作戦だった。勝政が酔って深夜になると、直家は一刀のもとに切り伏せた。次に直家が狙ったのは、祖父能家の仇の盛実だった。

◎島村盛実

 盛実は宗景の重臣であり、直家の祖父能家を討ったことで知られている。先述のとおり、盛実には宗景への謀反の嫌疑が掛けられていた。直家は勝政を討ったあと、烽火をあげたら盛実を寄越すよう、宗景と打ち合わせていたのである。

 何も知らない盛実は、直家のもとにやってきた。すると、直家は油断していた盛実の軍勢を一気に打ち破り、その居城の砥石城(岡山県瀬戸内市)を乗っ取った。直家は見事に勝政と盛実を討ち取ることで、台頭のきっかけを作ったのである。

◎穝所元常

 元常は龍ノ口城(岡山市)に本拠を置く武将で、直家と対立する関係にあった。直家は龍ノ口城に軍勢を送り込んだが、なかなか落とすことができなかった。すると、元常が美少年好きであるとの話を聞き、直家は元常のもとに刺客として小姓の岡清三郎を送り込んだ。

 直家の計画はずばり当たり、元常は清三郎に夢中になった。元常は家臣の諌言に耳を傾けず、清三郎と酒宴に及ぶことがたびたびあった。ある日、清三郎は隙を見て、寝込んだ元常を刺し殺すと、その首を直家のもとに持ち帰ったのである。

◎まとめ

 いずれの話も後世に成った軍記物語に書かれたものであり、疑わしい内容のものもある。こうしたエピソードにより、直家には「戦国の梟雄」というレッテルが貼られたのである。

株式会社歴史と文化の研究所代表取締役

1967年神奈川県生まれ。千葉県市川市在住。関西学院大学文学部史学科卒業。佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、株式会社歴史と文化の研究所代表取締役。大河ドラマ評論家。日本中近世史の研究を行いながら、執筆や講演に従事する。主要著書に『蔦屋重三郎と江戸メディア史』星海社新書『播磨・但馬・丹波・摂津・淡路の戦国史』法律文化社、『戦国大名の家中抗争』星海社新書、『戦国大名は経歴詐称する』柏書房、『嘉吉の乱 室町幕府を変えた将軍暗殺』ちくま新書、『誤解だらけの徳川家康』幻冬舎新書、 『豊臣五奉行と家康 関ヶ原合戦をめぐる権力闘争』柏書房など多数。

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