ノート(28) 早々と最高検に白旗を揚げて“完落ち”する若手検事たち
~逡巡編(13)
勾留5日目
自省の念
この日は日曜日で拘置所も休みであり、弁護人との接見はなかった。取調べ官にとっては、被疑者との人間関係を深めたり、被疑者を追い込んで重要な供述を得たり、供述調書へのサインを求める絶好のチャンスだ。
中村検事による取調べも、午後2時ころから消灯時間である午後9時ころまでの間、夕食を挟んで約6時間、これまでよりも2時間ほど長めに行われた。
「今日は何か考えてきてくれたかな」
中村検事は、穏やかにそう切り出した。前日、前々日と、取調べの最後に「よく考えてみてほしい」などと言って締めくくっており、僕の気持ちが大坪さんや佐賀さんを刺す方向に傾くことを期待していたからだった。
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