「一番最初」「まだ未定」「お体ご自愛ください」っておかしい?ビジネスシーンでやりがちな重複表現3選
重複表現って知っていますか?同じ意味の言葉を重ねた言い方のことで、「重言」「二重表現」とも呼ばれます。たとえば、「頭痛が痛い」「馬から落馬」などがありますね。
今回は、気をつけておかないとついついやってしまいがちな重複表現を3つ紹介します!会話の中では気にならなくても文字で読むと目立つこともあるので、今からお伝えすることは、特に文章を書くときに気を付けてみてくださいね。
①一番最初
よく耳にするこちらの表現。一番であるということを強調したいという意図があるのかもしれませんが、意味が重複しており日本語としては正しくありません。
「最初」を辞書で引いてみると下記のとおりです。
引用:精選版 日本国語大辞典
今度は「一番」を調べてみます。
引用:デジタル大辞泉
「最初」に「一番はじめ」という意味があり、「一番」には「最も」という意味があるので、「一番最初に」=「最も」+「一番はじめに」だと考えると、おかしいのが分かりますね。「一番最初」は、「最初」に言い換えましょう。
例:一番最初の会議でお伝えしたように~
⇒最初の会議でお伝えしたように~
もっと言えば、上記にある通り「一番」を名詞として使うと「最初」という意味になります。そのため文章によっては、「一番最初に」は「一番に」と言い換えてもOKです。
例:一番最初に私のところに来てください
⇒一番に私のところに来てください
似たような表現で「一番最後」「一番ベスト」というものもありますが、こちらも「一番」は不要なので、それぞれ「最後」「ベスト」に言いかえるのがベター。また、「まず最初に」という表現もありますが、こちらも重複表現なので「まず」か「最初に」だけで意味は伝わりますよ。
<参考>
②まだ未定
次は、報告するときなどによく使いがちなこちらの表現。「未定」の意味を調べてみましょう。
参考:精選版 日本国語大辞典
上記を読むとわかるとおり、「まだ未定」は「まだ」+「まだ決まっていない」という重複表現です。会話で聞く分にはそこまで違和感がなく、スルーしてしまいがちなので要注意。
仕事のメールなどで「まだ未定です」と書きそうになったら、「未定です」「まだ決まっていません」などに言い換えてみましょう。
似た表現で「まだ未確認」「まだ未解決」などもありますが、これらも「まだ」は不要。重複のない、スッキリした言い回しを心掛けましょう。
③お体ご自愛下さい
最後はこちら。取引先へのメールやお手紙の最後など、ビジネスシーンでもよく使う表現ですよね。知らないと何気なく使ってしまいそうな言い回しですが、実はこちらも重複表現です。
「自愛」を辞書で引いてみると、「自愛」という言葉の中に「自分の体に気をつける」という意味が含まれているのがわかります。
引用:精選版 日本国語大辞典
つまり、「ご自愛ください」とだけ言えば、「体に気をつけてください」の意味になるのです。そのため、「お体~」としてしまうのは重複表現です。
しかしながら、単に「ご自愛ください」だけだと丁寧な印象が足りないように感じる場合もあるでしょう。そんなときは、下記のような表現もおすすめ。
①何か別の枕詞を使ってみる
「暑い日が続きますが、○○様もどうかご自愛ください」
「体調を崩されませんよう、くれぐれもご自愛ください」
②別の表現に言い換える
「くれぐれもお体にお気をつけください」
「ご無理をなさらず、お体を大切になさってくださいね」
※現時点で体調が良くない相手に対しては、「お大事になさってください」の方が適切
「ご自愛ください」は目上の人に使うことも多い敬語なので、正しい言葉遣いでなければ失礼にあたることも。せっかくのすてきな気遣いの言葉、重複表現は避けて正しく使っていきたいですね。
いかがでしたか?
今回は、ビジネスシーンでもよく使われる「一番最初」「まだ未定」「お体ご自愛ください」について取り上げました。
ビジネスシーンでの文章作成にかぎらず、友人へのメッセージや趣味のブログを書くときなども気を付けてみましょう。きっと文章がスッキリするはずですよ。