「違和感を感じる」?避けたほうが無難な二重表現2選
二重表現ってご存じですか?同じ意味の言葉を重ねた言い方のことで、「重言」「重複表現」とも呼ばれます。
今回は、二重表現とされるもの2つについて詳しく説明します。特に文章を書くときに気を付けてみてくださいね。
①違和感を感じる
100%二重表現とは言い切れないとする人も
こちらは、二重表現として有名なのでご存じの方も多いかもしれませんね。しかし実は、二重表現ではないとする考え方もあります。
三省堂国語辞典第八版では、「『違和感を感じる』は重言とされるが、『快感を感じる』など、同様の言い方は昔からふつうに使われる。『違和感を覚える』とする方法もあるが、意味は同じ」とされています。たしかに、「違和がある印象やようす(=違和感)を感じる」という表現だと考えると、「違和感を感じる」は、そこまで意味が重なっていると言い切れないかもしれません。NHKが2024年4月に発表したデータでも、「違和感を感じる」について「間違った言い方だとは思わない」という人が、全体の3分の2程度を占めていたようです。
とはいえ「違和感を感じる」という表現は避けるに越したことはない
上記のような考え方もあるものの、筆者は普段「違和感を感じる」という表現の使用は避けています。やはり字面で見たとき「感」が重複していて見栄えが良くないからです。また口頭でも、同じ「カン」という音が続くのは稚拙な印象を与える場合も。それこそ「違和感を感じる」人も多いのではないでしょうか。
多くの人に違和感を抱かせない文章作りを目指すなら、「違和感を抱く」「違和感を覚える」「違和感がある」等と言い換えるのがおすすめですよ。
なお、「違和感を感じる」にかぎらず「○○感を感じる」という表現は総じて避けた方がベター。たとえば「達成感を感じる」「無力感を感じる」なども同様に「感」が重複しているので、「達成感を味わう」「無力さを感じる」等に言い換えてみてはいかがでしょうか。
②約…程度
次は、時間や重量などの概数を伝えるときの「約…程度」といった表現です。「約30分程度」「約100人程度」など、ついつい口頭でも使ってしまいがちですよね。
概数を伝えるときに使う「約…」「…程度」という言葉の意味を調べると、どちらもほぼ同じ意味であることが分かります。そのため、「約…程度」は、同じ意味のことばを2つ重ねて使っている二重表現といえます。
やく【約】 の解説
[副]数量を大まかに数えるさま。おおよそ。だいたい。「—一週間」「—一〇万円」
てい‐ど【程度】 の解説
3 他の語の下に付き、それにちょうど見合った度合い、それくらいの度合いの、の意を表す。「高校—の学力」「二時間—の遅れ」「申しわけ—の金額」
ーgoo国語辞書より抜粋
・程度(ていど)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書
・約(やく)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書
あいまいな表現をしたいときはつい両方使いたくなりますが、
・文章が長くなる
・あまりにあいまいすぎる、自信がなさすぎるような印象を与える可能性がある
というデメリットが考えられます。これは口頭の場合も同様です。
概数を伝えるときは、「約…」「…程度」のどちらかだけを使うのがおすすめ。どちらかだけの使用でも概数であることは伝わりますし、文章がスッキリしますよ。
また、同様の考え方で「およそ…」「だいたい…」と「…くらい」「…ほど」を二重で使うのも避けたほうがよいといえます。
いかがでしたか?
今回は「違和感を感じる」「約…程度」を取り上げました。これからも、気を付けていないとついついやってしまいがちな誤った表現や、それをどう言い換えたらいいのか?等について取り上げる予定なので、ぜひフォローして更新をお待ちください♪
<参考>
・「違和感を感じる」?-NHK
・文字にすると違和感が増す「違和感を感じる」 – 毎日ことばplus
・『三省堂国語辞典』第八版(2022年、三省堂)