京都の老舗「亀屋良長」さんの作品で和菓子初め!繊細なきんとんから定番のお饅頭まで豪華勢揃い
2023年は皆様にとってどのような一年でしたでしょうか。365日をひとことで表すのは無理難題かと思いますが、私にとってはこうしてご覧いただいてくださる皆様や沢山の和菓子屋さん、職人さん、和菓子に携わる全ての方とのご縁に恵まれた一年でした。
これからもこのご縁を大切にしつつ、より一層「和菓子って楽しい!」「お店に行ってみたい!」そう思っていただけるような記事を発信して参ります。
迎春の上和菓子と申しますと、私がまだ幼かった頃は鶴亀に松竹梅が定番だったかと思います。両親へのご挨拶へいらした方が持ってきてくださった記憶がぼんやりと。
時代は変わり、今はより一層色彩豊かで晴れ晴れとした気持ちにさせてくれるような意匠と出会う機会が増えました。
2024年、最初に口にしたのは創業1803年の京菓子司「亀屋良長」さんの上生菓子。今回は「龍」、「初春」、「初日の出」、「甲辰(きのえたつ)」をご紹介。
昔話に出てくる龍の鱗が、日の光を浴びて神々しく輝いているような「龍」は、なんと寒天を使用した和菓子三層という構造。
若々しい緑の錦玉羹、その色を如実に映し出す餅羊羹、更に栗の甘露煮がおめでたい席にぴったりな栗羊羹。ぽりぽりっとした栗羊羹は、秋ではなく冬の味。
比較的関西に多くみられ、京生菓子には欠かすことのできない大和芋を使用した「初春」。どこか浮足立つような薄桃色と雪の白さを合わせた繊細なきんとん。奥からこみ上げてくる粒餡の素朴な味わいとしゃきしゃきとした軽やかな歯ごたえを満喫すると、ふんわりと甘く儚いつくね芋の余韻にハッとするロマンチックな一品。
眩しい程に海原を照らす「初日の出」は、王道ともいえる練り切り製。爽やかな練り切り餡の甘味から、スッと一歩引いた慎ましやかな風味の中餡へ切り替わる瞬間があったのですが、ここで納得。白手亡やいんげんだけではなく、白小豆が活きているからこその慎ましやかで優雅な味わいになるのですね。
抽象的な意匠のなかで、ひときわキュートな「甲辰」。蕪は「頭(かしら・兜より)となるように」、また「株が上がる(評価があがる)」など出世にまつわるゲン担ぎをはじめ、無病息災などとっても縁起の良い野菜。その下部を模したお饅頭は、もちもち且つふんわり!はふっ、とかぶりつくと濃厚なつくね芋の香り、旨味が一気に鼻腔へと充満し、こし餡の甘味と相まって和菓子特有の幸せな味わいのコンビネーションに。
謹んで、というよりは、晴れやかで気分上々になれるような亀屋良長さんの上生菓子で、笑顔で2024年の辰年をスタートさせることができました。
松の内まではこうした迎春の意匠の和菓子が店頭に並ぶお店もございますので、ぜひ皆さんの周りでも目を光らせてみてはいかがでしょうか。
<亀屋良長・本店>
公式サイト(外部リンク)
京都府京都市下京区四条通油小路西入柏屋町17-19
075-221-2005
9時30分~18時(茶房は11時~17時)
定休日 年中無休(1月1日~1月3日はお休み)