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太ももフェチにはたまらない魅力の「モモブト」仲間たち。代表はフェモラータオオモモブトハムシ。

天野和利時事通信社・昆虫記者
タイで見つけたフォモラータオオモモブトハムシ。ハムシとは思えない迫力。

 昆虫記者は太ももフェチだ。と言ってもその対象は人間ではなく昆虫。虫の中には、モモブトの名を持つものが何種類かいる。

 たぶん一番有名なのは、フェモラータオオモモブトハムシの仲間だろう。フェモラータの名はラテン語のfemoraから来ている。

 femoraは昆虫の腿節(脚のうち太もものように見える部分)のことなので、このハムシの名を無理やり漢字に直すと「太腿大腿太」ハムシとなる。

 フェモラータは、ハムシの仲間とはとても思えないほど大きな虫で、しかも緑色や紫色の金属光沢に包まれているので、太ももフェチ以外の虫好きにも人気がある。

 しかし、フェモラータは日本では駆除の対象になっている外来種。三重県などで発生して、クズを食害しているという。

緑一色のフェモラータオオモモブトハムシ。これもタイで見つけたもの。
緑一色のフェモラータオオモモブトハムシ。これもタイで見つけたもの。

日本に侵入したフェモラータは紫色のものが多いようだ。
日本に侵入したフェモラータは紫色のものが多いようだ。

 昆虫記者は日本の自然界でフェモラータを見たことはないが、東南アジアではわりと普通種らしく、タイで何度か見かけた。見つけた場所は、ジャングルなどではなく、ホテル前の雑草(たぶんマメ科)の中だったので、街中に普通にいる虫なのかもしれない。

 フェモラータのような宝石系の虫以外にも、日本には昆虫記者のような太ももフェチを魅了する「モモブト」系の虫がいる。

 その代表の「モモブトカミキリモドキ」は、春から夏にかけて、タンポポなどの花でよく見かける超普通種だ。

タンポポなどの花でよく見られるモモブトカミキリモドキ。後脚の腿節が太いのはオスだけ。
タンポポなどの花でよく見られるモモブトカミキリモドキ。後脚の腿節が太いのはオスだけ。

 しかしこのモモブトカミキリモドキは、黒っぽくて小さい目立たない虫なので、太もも系の虫をこよなく愛する者以外にはあまり人気がない。しかもこの虫には、カンタリジンと言う毒があるらしい(「らしい」と言うのはまだ毒見をしたことがないからだ)。

 この記事を読んで、近所の公園に出かけ、タンポポの花の上でモモブトカミキリモドキを見つけたのに「ももが全然太くない」と文句を言う人がいるかもしれない。

 実は後脚の腿節が太いのはオスだけで、メスの腿節は全然太くない。メスがいれば近くにオスもいるはずなので、太ももフェチを貫きたい人は、丹念にオスを探してほしい。

(写真は特記しない限りすべて筆者=昆虫記者=撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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