「大人が使うと実は恥ずかしい!」日常の日本語・やらかし3選
お読みくださってありがとうございます!日本語と日本酒の日本(二本)柱で生計を立てる、日本唯一(かもしれない)日本語教師の高橋亜理香です。
日常会話の中には、多くの人が間違っているけど実は気づいていないフレーズが意外とたくさんあります!
毎日毎日聞いているあのことば…わかっている人にとっては、強烈に違和感を覚える「間違いな」日本語だったりするのです。(「間違いな」もダメですよ!)
今回は「子どもだったらいざ知らず…大人が知らずに使っていたらちょっと恥ずかしい」日本語を集めました。
その①「全然大丈夫!」(「全然」のルール間違い)
まずは、やらかし代表格の「全然大丈夫!」
おそらく、みなさん何億回も聞いたことがあるフレーズでしょう。でも実はこれ、決定的に間違っている日本語のひとつです。
「全然」は副詞なのですが、本来必ず文末に否定形をとらなければならないルールがあります。類義語の「まったく」も同様です。
「きのうのテスト、全然わからなかった」
「胃の調子が悪くて、まったく食事がとれない」
といった使い方が正しい形。
否定の意味をとっていればいいので「全然だめ」のような使い方もOKです。
ですが「全然大丈夫」の「大丈夫」は否定の意味ではないですよね。そのため、本当は接続できないことば同士なのです。
あまりにも世の中で使われすぎていて、多くの人は特に気にも留めていなかったかもしれません。でも実はこのルール、日本語を学ぶ外国人でも初級段階で勉強しているもの。気にせず使うと外国人に指摘されてしまう可能性もあるかもしれません…。
そこで「じゃあどう言い換えればいいの?」と思う人には、「全然大丈夫」の言い換えにはこれ!
「全然問題ない」
を使うのが適切です。「大丈夫」を「問題ない」に変えるだけでぐっと大人らしいフレーズになるので、ぜひ役立ててください!
その②「すごいおいしい!」(形容詞の副詞的用法間違い)
次は「すごいおいしい!」などに見られる「すごい~」です。
こちらも、やらかしの殿堂入りができそうなほどよく聞くフレーズ。TVやCM、広告でもよく目に・耳にしますが、そのたびに高橋はなんだかぞわぞわしてしまいます…。
でも、よく考えれば何がダメなのかすぐに気づけるはず。
そうです。「すごい」と「おいしい」という形容詞をそのまま重ねてしまっているのです!
本来、動詞文や形容詞文を説明したい場合は副詞を使います。つまり「おいしい」の説明をしたいなら
「とてもおいしい」
のように「とても」という副詞をプラスするのです。
そこに、形容詞を使って説明したい場合は「すごい→すごく」と変形する、副詞的用法を用いらなければなりません。にもかかわらず、形容詞を変形させずそのまま使ってしまっているのが「すごいおいしい」です。
つまり「すごいおいしい!」は「早く行こう」を「早い!行こう!」と言っているのと同じようなもの。そう考えるととてもおかしな感じがしませんか?カタコトの外国語を喋っているようです。
ということで、これからはぜひ「すごくおいしい!」でお願いします。ちなみにビジネスなら「とても」や「非常に」を使ったほうがいいでしょう。
その③「アイドルの〇〇みたくなりたい」(助動詞「みたいだ」の変形ミス)
3つ目はこちら「○○みたくなりたい」
これもあるあるで、どこにいても聞くことができるフレーズです。
まずどこがダメなのかというと、状態や性質が〇〇と似ているという様子を表す「みたいだ」の使い方。「みたいだ」は助動詞で、活用をさせる際には形容動詞と同じ変形をします。
例えば
「天使みたいな人」
「冷蔵庫の中にいるみたいに寒い」
といった使い方です。
でも「〇〇みたくなりたい」というのは、おそらく「みたい」という助動詞を「~い」という形から形容詞だと勘違いしてしまい、形容詞と同じ変形をしてしまっているのです。「大きくなったらサッカー選手になりたい」の「大きくなったら」と同じ感覚ですね。
本来は
「〇〇みたいになりたい」
と言うのが正解。
意外と気づいていない人が多いのですが、実は明確に間違っていることば遣いのひとつなのです。
子ども脱却!ことばを「考える」意識を持とう
みなさんは、これらの間違いに気づけていましたか?
実は何気ない日常の会話の中にも、こんなに誤用が潜んでいるんです!
今回挙げた3つの間違いは、聞く人が聞くととても子どもっぽく感じてしまいます。この機会に日本語を一歩大人にランクアップさせましょう。
今使っていることばが本当に正しいのかよく考えてみると、意外な気づきがまだまだあるはずですよ!
【お読みくださった方へ】
記事へのご感想や高橋へのひとことなどはぜひ、SNSアカウントのDMなどへお寄せください!また、お仕事等に関することもDMまでお願いします。(Instagramが中心です)