SBI証券が「dポイント」に対応。T/V/Pontaポイントとあわせて楽天包囲網か
SBI証券は2月21日からNTTドコモと提携した「dポイントサービス」の開始を発表しました。これにより4種類のポイントプログラムに対応する形になり、「楽天包囲網」を構築しつつあります。
ネット証券とポイント経済圏の連携において、最大の勢力といえるのが楽天です。これに対し、他社は次々と対抗策を打ち出すことで楽天ユーザーの取り込みを図っています。
もともとSBI証券はTポイントと連携していましたが、2021年6月から三井住友カードによる投信積立でポイントがたまる「Vポイントサービス」を開始。さらに2021年11月にはPontaポイントを導入し、投信買い付けへの充当にも対応。この時点で、国内主要証券として複数の共通ポイントを投資に使えるのは初めてとうたっています。
今回、ここにdポイントが加わりました。Tポイントから数えて全部で4種類のポイントプログラムに対応した形になり、さらに2022年4月には東急ポイントのサービスも提供する予定となっています。
選択肢は広がる一方で、サービスの中身はやや複雑です。dポイントの場合、投資信託の保有残高に対するポイントや国内株式手数料に対するポイントはもらえます。しかしPontaのようにポイントを「つかう」ことはできず、三井住友カードのようなdカードによる投資積立はできません。
投信残高に対するポイントにも違いがあります。楽天証券における「投資信託資産形成ポイント」は、2022年4月から一定金額に「初めて」到達した場合にもらえる仕組みに変更されます。
これに対してSBI証券の「投信マイレージ」は、2022年2月から付与率が税込みから税抜きで算出されたものに変更されます。しかし信託報酬の一部が定期的にポイントとして還元されるという仕組み自体は変わっていません。
資産形成のコストを引き下げたい人にとって、SBI証券の継続的なポイント還元は魅力的です。一方、こうしたサービスがいつかは改定されると考えるならば、多少のポイント差には目を瞑って楽天に集約してしまうという、分かりやすい選択肢もあります。
オープンな連携で全員がWin-Winになる?
最近、Tポイントはソフトバンクやヤフーが移行を決めるなど、悪いニュースが続いています。その中でSBI証券では他のポイントが急速に充実したことから、ユーザーとしてもそれほど不安を抱かずにSBI証券を使い続けることができそうです。
一方、ポイント経済圏にとっても魅力を高める狙いがありそうです。dポイントの場合、SMBC日興証券や「日興フロッギー」で「たまる」「つかう」に対応しているものの、ネット証券大手のSBIを使いたいという人も多いでしょう。
Pontaポイントの場合も、auの金融サービスとの連携強化が進んでおり、auカブコム証券が「たまる」「つかう」サービスを提供しています。こちらも同様にSBI証券が加わったことで、ポイントプログラム自体の魅力も高まったといえそうです。
このように経済圏の枠を超えたオープンな連携で、全員がWin-Winになる関係を目指しながら、楽天包囲網としても機能しつつあるのは面白い動きといえるでしょう。