日本初の人工衛星「おおすみ」世界で4番目に衛星を打ち上げ、日本の宇宙開発が幕開けとなった瞬間とは?
最近は月着陸機「SLIM」や、少し前には小惑星探査機「はやぶさ2」などで宇宙探査が盛り上がってきていますね。
皆さんは、日本が最初に打ち上げた人工衛星をご存知ですか?本記事では、「おおすみ」を解説していきます。
■日本初の人工衛星「おおすみ」とは?
おおすみは二つのモジュールから構成されています。まず、最も目立つ黒い球は、実はロケットの最上段なのです。直径48 cmの球の中に固体燃料が詰まっています。
そして、とんがりコーンのような円錐形状の部分には、通信機、温度計、加速度計などが搭載されています。全長約1m、質量は23.8 kgの小さな人工衛星であり、宇宙に打ち上げられてからの設計寿命は約30時間として製造されました。
■初の人工衛星打ち上げとトラブル
そして、日本初の人工衛星である「おおすみ」が1970年に打ち上げられました。
しかし、ここでトラブルが発生します。ロケットの第1段が風で流された事と第4段の推力が過剰であったため、実際に投入されたのは当初予定していたものとは異なる軌道でした。そのような状況下でも、おおすみは地球6周までの14~15時間まで電波を受信することに成功!無事に地球を周回したことが確認されました。おめでとうございます!
その後、予想以上の高温となり電源容量が急激に低下し、通信は途絶してしまいます。原因を推定したところ、ロケットモーターとの断熱が不充分であったことから、機体が予想よりも高温となってしまったとのことです。おおすみの電波運用はその時点で打ち切られてしまいましたが、その後も光学観測により存在は確認されていました。
■日本が世界で4番目の衛星打ち上げ国に
日本初の人工衛星である「おおすみ」の打ち上げが成功したことで、日本はソ連、アメリカ、フランスに続き、世界で4番目に自国の能力により人工衛星を打ち上げた国となりました。これは、日本の宇宙探査の幕開けを意味していました。
1970年の朝日新聞によると、おおすみの成功についての世論の反響は様々だったようで、「純国産がうれしい」「ただ国威発揚だけ」など、色々な意見があったそうです。
ちなみに、おおすみはその後どうなったのでしょうか。実はおおすみはその後も地球を周回し続けていましたが、2003年に大気圏に突入し、その役目を終えました。そして、おおすみの開発技術はその後、たくさんの地球周回衛星や惑星探査機に引き継がれていくこととなります。約33年に上る宇宙飛行、本当にお疲れさまでした。
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