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主な新興国・米国経済ニュース(11日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米GE、カナダ年金運用最大手にPE融資事業を1.5兆円で売却合意

米複合企業大手ゼネラル・エレクトリック<GE>は9日、傘下のプライベートエクイティ(PE)融資(スポンサー・ファイナンス)事業と30億ドル(約3700億円)相当の貸出金融資産を約120億ドル(約1.5兆円)で、カナダ年金基金投資運用委員会(CPPIB)に売却することで合意したことを明らかにした。

スポンサー・ファイナンス事業では企業に1件当たり3000万-5億ドル(40億-620億円)のレバレッジド・バイアウト(LBO)資金を融資しており、GEキャピタルの稼ぎ頭となっている。スポンサー・ファイナンス事業部門にはGEアンタレス・キャピタルやシニア・セキュアード・ローン・プログラム(SSLP)が含まれるが、CPPIBは買収後、GEアンタレス・キャピタルの社名や経営体制を変更せず、独立事業体として経営を継続させる。他方、SSLPについては、GEキャピタルが当分の間、運用し、SSLPに出資している米投資会社アレス・マネジメントとCPPIBが共同運営で合意できるようにしたいとしている。ただ、両社が合意できない場合にはGEキャピタルがSSLPの運用を続けるが、段階的に事業を縮小するという。

これまで、同部門の買収をめぐっては、CPPIBのほか、米レバレッジド・バイアウト大手ブラックストーン・グループや米資産運用大手コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、米PEファンド大手アポロ・マネジメント、アレス・マネジメントが名乗りを上げていた。

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米ネットフリックス、株式分割に向け発行済み株式数30倍引き上げへ

米オンラインDVDレンタル・映像ストリーミング大手ネットフリックス<NFLX>は9日に開かれた年次株主総会で、将来の株式分割に向けて、発行済み株式数を現在の1億7000万株から約30倍の50億株へ引き上げることについて株主から承認が得られたことを明らかにした。米経済専門チャンネルCNBC(電子版)が伝えた。

同社の株価は現在、9日終値で647.15ドルと、高額になっているため、株式分割によって、株価を引き下げることにより流動性を高めたい考え。株式分割の実施後は発行済み株式が急増するため、株主の承認が必要となる。同社では、今回、株主の承認が得られたことから、今後は取締役会で株式分割を正式決定したいとしている。

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三菱電機、エレベーター・エスカレーターのインドネシア工場が竣工

三菱電機がインドネシアの西ジャワ州カラワンに200億ルピア(約1億8000万円)を投じて建設していたエレベーター・エスカレーターの新工場がこのほど完成した。ジャカルタ・グローブ(電子版)が10日に伝えた。

同工場はインドネシア国内外でのエレベーターやエスカレーターの需要増大に対応するため建設されたもので、同社のエレベーター・エスカレーター機器関連事業にとって2番目のインドネシア工場となる。同社の現地法人である三菱ジャヤ・エレベーター&エスカレーターのクリスチャン・サトリヤ社長は、「インドネシアの不動産市場では過去5年間で成長が著しく、オフィスビルやショッピングモール、アパートなどでの需要が拡大している」と述べている。

同工場の生産能力は年間560台で、これは第1工場の生産能力を40%上回る。

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タイ中銀、政策金利を1.5%のまま現状維持―全員一致

タイ中央銀行は10日の金融政策委員会で、政策金利である翌日物レポ金利を現行の1.5%のまま維持することを全員一致で決めた。中銀は前回4月会合まで2会合連続で利下げし下げ幅は計0.5%に達していた。

中銀は金融政策決定会合後に発表した声明文で、「全員が政策金利の据え置きを支持した」とした上で、「タイ経済の回復ペースは前回4月会合時とほぼ変わっていない。2015年1-4月期の経済成長の勢いは弱い個人消費と中国などのアジア経済の鈍化で輸出が引き続き低迷したことで弱いままだ。しかし、政府支出が増加し観光セクターの業況改善で景気は下支えされている。今後、経済回復は緩やかに進むが、世界経済、特に中国などのアジア経済の回復が思ったよりも遅いため、タイ経済が悪化するリスクがある」とし、景気の先行きに対する懸念を示した。

一方、インフレについて、中銀は、「インフレは依然としてエネルギーや生鮮食品の価格低下でマイナス圏にある。しかし、下期(7‐12月)には原油と生鮮食品の物価上昇に伴いインフレ率が上昇し始める。多くの財・サービスの物価は上昇、または横ばいとなっているものの、消費が増え続けていることや、インフレ期待が物価目標に近いことから、中銀の分析ではデフレリスクは依然として低いと見ている」と指摘している。

金融政策の現状維持を決めたことについて、中銀は「これまでの利下げで金融緩和の状況が行き過ぎている判断した」としている。しかし、「タイ経済は下振れリスクがあることから、景気回復を支えるため、引き続き金融緩和の状況を維持すべきだ。中銀は景気回復を支え、金融の安定を長期に維持するために適切なあらゆる政策を講じる用意がいつでもできている」とも述べている。

次回会合は8月5日に開催される予定。

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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