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「ホテル主催夕食会」なら、安倍首相・事務所関係者の会費は支払われたのか

郷原信郎郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士
ホテルニューオータニ(写真:アフロ)

 安倍首相は、本日(18日)午前10時ごろ、総理大臣官邸に入る際、記者団の取材に応じ、「懇親会などについて証拠を示して説明すべきだという指摘が出ている。」と問われたのに対し、「安倍事務所にも後援会にも、一切、入金はなく出金もない。旅費や宿泊費は各参加者が直接支払いを行い、食事代についても領収書を発行していない。」と述べたとのことだ(NHK)。

 15日の「ぶら下がり会見」では、「安倍事務所職員が1人5000円を集金してホテル名義の領収書を手交した」と説明していた。そうであれば「ホテル名義の領収書」が事前に安倍事務所側にわたっていたことになる。ニューオータニのような一流ホテルが、支払いを受けてもいないのに領収書を発行して交付することはあり得ないのではないかというのが、前の記事【「桜を見る会」前夜祭 安倍首相の「説明」への疑問~「ホテル名義の領収書」の“謎”】での指摘だが、その点について安倍首相は答えていない。

 安倍首相の説明によると、夕食会は、ホテル側が主催し、ほとんどが宿泊者であることを考慮して、夕食会費を1人5000円と決め、個別にそれを集金したもので、安倍事務所側は、会費を集金して領収書を交付するという事務を手伝う以外は関与していないということになるが、懇親会に出席した参加者全員が、個別に、(安倍事務所職員を通してかもしれないが)1人5000円の飲食費をホテル側に支払ったということになると、その夕食会費を支払うべき「参加者」には、安倍首相夫妻や事務所関係者、来賓も含まれるはずだ。ホテル側が主催する立食の夕食会であれば、これらの人達も、夕食会に参加する以上、飲食をしようとしまいと、参加者の人数に含まれるのは当然だ。

 これらの人達も、すべて自分で夕食会費を支払ったのだろうか。もし、後援会が支払っているとすれば、その分、その「桜を見る会」前夜祭に関する安倍後援会側の「支出」が発生する。支払っていなければ、安倍首相や関係者は「無銭飲食」をしたことになる。

 この疑問に、安倍首相は、どう答えるのであろうか。

郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『歪んだ法に壊される日本』(KADOKAWA)『単純化という病』(朝日新書)『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。

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