オートバイのあれこれ『宗一郎氏の想いが息づく。高性能実用バイク!』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今朝は『宗一郎氏の想いが息づく。高性能実用バイク!』をテーマにお話ししようと思います。
ホンダの『CD250』というオートバイをご存知でしょうか。
CD250は、1968年(昭和43年)に登場したビジネスバイクです。
日本ではオートバイがまだ“嗜好品”というより“生活の道具”だった60年代、ホンダは商用車(実用車)のラインナップとして『CD』シリーズを展開していました。
当時CDシリーズには『50/65/125』があり、このシリーズのフラッグシップとして『CD250』は作られます。
ベースとなっているのはスポーツモデル『CB250』で、CBの各部ディティールを実用重視にアレンジ。
姿勢がラクなアップハンドル、靴が傷まないロータリーミッション、発進加速を優先したギヤレシオ等に加え、防汚性を考慮したフルチェーンカバー、末端の広がったフロントフェンダー、より長いリヤフェンダーなどが採用されていました。
そしてCD250で注目したいのが、日常生活での利便性を追求する一方、その気になれば140km/h程度まで加速できたということ。
この高速性能は、他のCDでは特に追求されていなかったものでした。
これは推測になりますが、CDシリーズにこの250が追加されたのは、おそらくホンダが高速巡行可能なCDもラインナップしておきたかったからでしょう。
というのも、実はCD250が発売される3ヶ月ほど前(1968年4月)に東名高速道路が開通しており、ホンダは来るべきハイウェイ時代に備え、あらかじめ高速巡行できるCDを用意しておこうと考えたのではないか、ということです。
ホンダの創業者である本田宗一郎氏は、もともと町の人々の移動を便利にするためにオートバイ生産を始めました。
その発想をダイレクトに担った“実用車”のCDシリーズにとって、ハイウェイ時代にも対応することはまさに使命。
その使命を考えると、このCD250を作るというのは、ある種ホンダにとって責務だったのかもしれません。