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台風10号の進路は依然として定まらず、首都圏を抜けるのに週末までかかるおそれも

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

台風10号は九州の西海上まで西進?

台風10号の予報円(ウェザーマップ)
台風10号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風予報円(気象庁発表)

強い台風10号の進路がなかなか定まりません。きょう26日(月)午後3時現在、西日本の南海上にあって、時速20キロで西北西に進んでいますが、このあと速度落としながら北西から北寄りに転向し、予報円の真ん中を進むと、29日(木)午後3時になって、ようやく九州の南部付近に近付き、しかも九州の西海上に到達するような当初はほとんど予想だにしなかった進路予想に変わってきています。(関連記事

九州の西海上まで大回りする予想となり、しかも速度も上がらないため、転向してから東寄りに進む日付がどんどん遅くなっていて、予報円の真ん中を進むと、30日(金)午後3時にはまだ松山市付近、その後少し速度を上げるものの、31日(土)午後3時になって、ようやく新潟市付近に到達する予想です。

この新潟市付近への到達は、3日前に発表されていた予報円では、あさって28日(水)午後3時頃になっていましたから、大きく西回りで速度も上がらなくなった結果、3日も遅くなるような予報円となっています。

しかしこの予報円で結論づいたわけではありません。31日(土)午後3時の予報円は、青森から大阪付近まで覆うほど大きくなっていて、遅く進めば、台風10号の影響が終わるのがさらに先延ばしになり、9月1日(日)にずれ込む可能性も考えらる予報円となっています。週末にかけて、かなりの長期戦となりそうな感じです。

太平洋高気圧の勢力拡大と台風10号の西進がほぼ合致

台風10号及び太平洋高気圧や偏西風の予想(ウェザーマップ発表を筆者加工)
台風10号及び太平洋高気圧や偏西風の予想(ウェザーマップ発表を筆者加工)

今回の台風10号は、近年にしては珍しいほど、70%の確率で台風の中心が到達するであろう予報円の内側には入らずに、外側にずれることが多い予想となっています。おそらくこれは台風10号の行く手の東側に構えていた太平洋高気圧の勢力が計算ごとに強まったことが大きく影響しているものと思われます。

上図は、あす27日(火)午後9時における台風10号及び太平洋高気圧や偏西風の予想を簡単に示したものです。おととい24日(土)午前9時の初期値における予想では、太平洋高気圧は関東付近で弱まり、北からの偏西風も大きく南下してくるため、台風10号は紀伊半島付近を北上して、偏西風に乗って加速し、北日本に向かうはずでした。

ところがきょう26日(月)午前9時の初期値の予想では、太平洋高気圧は関東付近から近畿地方へと張り出しを強め、この結果、台風10号は西へ西へ追いやられ、さらに太平洋高気圧が強まった結果、偏西風の南下も弱まり、西へ追いやられた台風10号は、上空の風が弱い地帯まで西進するため、少し迷走するような感じでゆっくりと北上する予想に変わっているのだと思われます。(太平洋高気圧が西側へ500キロ程度張り出した距離は、台風10号が紀伊半島の南から九州南部付近へ西回りになった距離とほぼ合致しています。)

まだまだ予報円は不確実な状況

アンサンブル予報(ウェザーマップ)
アンサンブル予報(ウェザーマップ)

上図はGSM予報を元にしたアンサンブル予報で、赤い丸が主に台風10号の中心を示します。30日(金)午後3時の予想では、西日本から山陰沖にまとまっているものの、すでにこの段階で、東西南北にかなりばらけていて、31日(土)午後3時に至っては、北海道の東方へすでに抜けているものから、東北や北陸、一部はまだ西日本に残っている計算まで存在しています。

このような事情のため、最新の予報円では、30日(金)から31日(土)にかけてかなり大きくなっているものと思われます。今後もどのタイミングで転向し、どの位の速さで西日本から東日本方面へ東進するのか、あるいは日本海側を進むのか、太平洋側を進むのかで、雨や風などの影響の度合いや時間帯が変わってくるものと思われます。引き続き、必ず最新の予報円を参考にするようにしてください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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