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eスポーツ化も検討してほしい新作バトルロイヤルゲーム「パックマン99」の魅力とは

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
「パックマン99」より、1位を獲得したときのゲーム画面(※筆者撮影。以下同)

ポスト「スーパーマリオ35」にふさわしいバトルロイヤルゲームが新登場

4月7日より、Nintendo Switch Onlineでバトルロイヤルゲーム「パックマン99」の配信が始まった。

本作は、1980年に登場した懐かしのアーケードゲーム「パックマン」をアレンジしたもので、最大で99人同時にオンライン対戦が可能。プレイヤーは敵のモンスター(ゴースト)に捕まらないようにパックマンを操作し、パワーエサ(パワークッキー)を食べると一定時間モンスターがイジケ状態になり、逆にパックマンが敵に噛み付いて攻撃できるようになる基本ルールは、元祖「パックマン」とまったく同じだ。

敵のモンスターに噛み付くと、対戦相手に「おじゃまパックマン」(※触れると一定時間、パックマンのスピードが大幅に低下する)を送り込む形で攻撃を仕掛けることが可能。1回ミスをすると即ゲームオーバーとなり、最後まで生き残ったプレイヤーが勝者となる。

「パックマン99」プレイ中のひとコマ。モンスターやドット、フィールドのデザインは元祖「パックマン」と同じなので、オールドファンには実に懐かしく映ることだろう
「パックマン99」プレイ中のひとコマ。モンスターやドット、フィールドのデザインは元祖「パックマン」と同じなので、オールドファンには実に懐かしく映ることだろう

パワークッキーを食べると、敵のゴーストが一定時間イジケ状態になり、パックマンが噛み付いて攻撃できるようになるルールもまったく変わりはない
パワークッキーを食べると、敵のゴーストが一定時間イジケ状態になり、パックマンが噛み付いて攻撃できるようになるルールもまったく変わりはない

本作の一番の良さは、前述した「パックマン」の基本ルールさえ知っていれば、誰でもすぐに遊べることに尽きる。しかも、Nitendo Switch Onlineに加入していれば無料でダウンロードしてプレイすることができる。

勝負にこだわるのであれば、「おじゃまパックマン」を送り込んだり消去する方法や、プレイヤー自身が動かすパックマンの強化方法など、細かいルールの把握も必須となるが、ただ画面上のパワーエサやモンスター、あるいはドット(クッキー)やフルーツターゲットをひたすら食べていくだけでも十分に楽しめる。

もうひとつの魅力はスピード感だ。残り人数が少なくなるにつれてBGMがテンポの速い曲に変わり、パワーエサを食べた後のモンスターのイジケ時間が減少したりして、スリリングな場面を演出してくれるのも実に楽しい。

 Nintendo Switch Onlineでは、昨年10月に拙稿「期間限定なのがあまりにも惜しい面白さ 『スーパーマリオ35』でeスポーツのさらなる普及を」でご紹介した「スーパーマリオブラザーズ」誕生35周年の記念作品「スーパーマリオブラザーズ35」を配信していたが、こちらは3月31日でサービス終了となった。期間限定だとわかってはいたとはいえ、本作は非常に面白いゲームだっただけに、もう二度と遊べなくなってしまうのは本当にもったいないことだと常々思っていた。

 しかし、これと入れ替わるようにして配信が始まった「パックマン99」は”スーパーマリオ35ロス”を補って余りある面白さがあり、筆者も連日ありがたく遊ばせていただいている。

人数が減るにつれてBGMが変化したり、敵に追い詰められたときのスリル感が実に楽しい
人数が減るにつれてBGMが変化したり、敵に追い詰められたときのスリル感が実に楽しい

世代を超えて楽しめるメリットを生かし、eスポーツの普及にぜひ活用を

筆者は繰り返しプレイするうちに、本作は世代を問わずeスポーツにも活用できるのではないかと率直に思った。

その理由は、前述したようにルールがシンプルでわかりやすいことと、「パックマン」がとりわけ40代以上のシニア世代には超有名タイトルゆえ、可処分所得が相応にあるプレイヤーがeスポーツを始める、あるいは見て楽しむきっかけ作りに打ってつけだと思うからだ。

また、4種類いるモンスターの基本行動パターンは、筆者が見た限りでは元祖「パックマン」と同じだ。よって、昔からそのパターンを知っているプレイヤーであれば、自分より若い世代にお手本を見せたり子供に教えながら一緒に楽しむこともできるだろう。あるいは、昭和の時代にゲームセンターで「パックマン」の腕を磨いたオッサン(またはオバサン)プレイヤーが、今どきのバトルロイヤルゲームに慣れ親しむ若い世代に勝負を挑み、世代間闘争をあおるようなeスポーツ大会を開いても面白いかもしれない。

「スーパーマリオ35」と同様に、懐かしさと今どきのトレンドを巧みに融合した「パックマン99」。コロナ禍でオフラインイベントの開催が難しい状況が続くが、本作は配信が始まって久しい「テトリス99」ともども、eスポーツの裾野の拡大にも大いに活用できるのではないだろうか。

元祖「パックマン」のモンスターの行動パターンを知っていれば、久しくゲームから離れたシニア世代の方でも若いプレイヤーと十分に勝負ができるだろう
元祖「パックマン」のモンスターの行動パターンを知っていれば、久しくゲームから離れたシニア世代の方でも若いプレイヤーと十分に勝負ができるだろう

(参考リンク)

・「パックマン99」(バンダイナムコエンターテインメント公式サイト)

PAC-MAN 99 & (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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