企業が定年後再雇用に伴う一律の賃下げを見直す理由 #専門家のまとめ
従業員が60歳の定年後に再雇用された際の賃金水準を大幅に引き上げる企業が相次いでいます。従来は定年後には4割ほど一律で引き下げられる企業がほとんどでした。なぜ今、シニア従業員の賃金見直しに舵を切る企業が相次いでいるのでしょうか。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
2021年の高年齢者雇用安定法の改正で、企業には70歳までの雇用努力が義務付けられています。
従来から、定年後再雇用にともなう一律の賃下げはシニア従業員の深刻なモチベーションダウンにつながるという指摘はありました。
にもかかわらずそれが黙認されてきたのは、65歳までの5年間であれば許容できるとの判断があったためです。
ただ、法改正により、何らかの形で70歳までの雇用継続を制度化する必要が出てきたため、士気低下の防止とシニアの再戦力化に舵を切る企業が増加したということです。
なおそうした企業のほとんどは従業員ごとに個別で処遇を見直すため、一律で底上げするというわけではありません。あくまでも「優秀なシニアなら現役並みか、それ以上の処遇も」ということになります。
そういう意味では、働きぶりに応じて賃金を設定するというジョブ型賃金のシニア版という言い方もできるでしょう。