関東甲信地方の梅雨入りと北上して接近中の台風3号
関東甲信地方の梅雨入り
令和5年(2023年)6月8日は、西日本~東日本の南海上にあった前線上に低気圧が発生し東進しました(図1)。
九州南部から降り出した強い雨の範囲が次第に東日本に広がりましたが、雨量の多い地域は、先週の記録的な大雨が降った西日本~東日本太平洋側と重なりました。
このため、少ない雨量でも土砂災害の危険度が高まるおそれがあることから、最大限の警戒がおこなわれました。
また、関東甲信地方では、6月8日に平年より1日遅い梅雨入りとなりました(表1)。
これで、梅雨が無いとされる北海道を除くと、梅雨入りしていないのは北陸と東北のみとなりました。
九州北部から東海地方では平年より早い梅雨入りで、関東甲信地方は平年より遅い梅雨入りということになりますが、気象庁のいう梅雨入りは、観測結果の発表ではなく、今後雨の日が多くなるという予報(速報値)です。
従って、気象庁の発表文には、「関東甲信地方は6月8日ごろに梅雨入りしたと見られます」と、「ごろ」と「見られます」という2つの言葉がついています。
そして、春から夏にかけての実際の天候経過を考慮した検討を行い、9月の初めに「梅雨入りと梅雨明けを統計値として確定」しています。
この確定の時に、梅雨入りの速報値と日付が変わることは珍しくありません(表2)。
最近の7年間は確定値と速報値が同じですが、21世紀になってからの22年間では7回(約32パーセント)変更になっています。
つまり、3年に1回は変更になっているのです。
今年の関東甲信地方は、梅雨入り前から雨や曇りの日が多く、梅雨入りの発表が難しかった年ですので、ひょっとしたら、東海地方が梅雨入りした5月29日か、九州南部が梅雨入りした5月30日などに変更になるかもしれません。
気象庁が、速報として梅雨入りを発表しているのは、雨に注意する季節が始まりましたという防災上の観点からですが、現在、台風3号が北上しており、梅雨前線と台風という危険な組み合わせになりつつあります(タイトル画像)。
台風3号の北上
フィリピンの東海上を発達しながら北上している台風3号は、6月8日21時に強い勢力になりました。
台風が発達する目安の海面水温は27度ですが、台風3号が存在している場所の海面水温は27~28度です。
フィリピンの東では、海面水温が平年よりかなり高い30度位あったのですが、一週間前の台風2号によってかき混ぜられ、そして台風3号によってもかき混ぜられていますので、現在では28度以下となっています。
台風2号ほどではないにしても、台風3号は27度以上の海面から水蒸気を多量に取り込み、6月11日には強い勢力で日本の南に達する見込みです(図2)。
台風3号の予報は、進行方向については定まってきましたが、進行速度については誤差幅が大きいままです。
このため、大きな予報円となっていますが、台風3号が予報円の中心を進んだとすると、八丈島などの伊豆諸島南部と、父島などの小笠原諸島の間を通ることになります。
台風3号による暴風域に入る確率は、小笠原諸島では6月13日未明(0時~3時)と明け方(3~6時)に15パーセントと、前後の時間帯に比べて大きくなっていますので、この頃に台風が最接近と思われます(図3)。
また、八丈島では6月13日朝(6時~9時)に11パーセントと、前後の時間帯に比べて大きく、この頃に台風が最接近と思われます。
台風接近で梅雨前線が活発となるおそれがありますので、今後の気象情報に注意してください。
タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。
図1、図3、表1の出典:気象庁ホームページ。
表2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。