竹、パスタで代用?プラストローをなくしたらどうなるか
スタバは全世界で、マクドナルドは英国とアイルランドで、プラ製ストロー禁止の動きへ
2018年7月9日、コーヒーチェーン大手のスターバックスは、2020年までに全世界で使い捨てプラスティック製ストローを禁止すると発表した。海洋プラスティックゴミが世界的に喫緊の課題となっており、環境保護の取り組みの一環である。ファストフードのマクドナルドも2018年6月15日、英国とアイルランドの合計1361店舗で、2018年9月から紙製ストローに順次切り替えると発表した。ストローは本当になくてはならないか、何で代替えできるか、普段、食品ロスやごみ削減について取材している筆者が真剣に考えてみた。
日本のカフェではどれくらいの人がストローを使っているのか?
プラスティック製のストローを使っているのはスターバックスやマクドナルドだけではないだろう。一般のカフェではどうだろうか。
2018年7月12日、南青山の上島珈琲店青山店で、全客数と、そのうちストローを使っている顧客の数を調べてみた。
顧客数は44名(13時40分現在。ベビーカーの赤ちゃんを除く)。うち、ストローを使っている客は37名。約84%の使用率だ。7月の猛暑日なので、多くの人がアイスコーヒーを注文しているせいもある。
ストローって無いとだめ?
そもそも、ストローは、無いといけないものだろうか。自宅で日常的に使う機会は確かに少なく、世界的には外食産業で多く消費されているのかもしれない。
ここで考えるのは社会的弱者と呼ばれる人たちのことである。介護を受けている方や、病院で寝たきりになっている方などは、飲料を吸って飲むための道具が必要だろう。この場合、使い捨てストローでなくても、何度も使うことのできる「吸いのみ」という容器や、ストローがあらかじめ付いた容器を使うことはできるかもしれない。
一般的ではないが、テレビ出演の前や、収録の合間に出される飲み物には、ストローがついていることが多い。コップに口をつけて飲むのでなく、ストローで飲むことで、口紅が落ちるのを防ぐことができる。
プラスティック以外の素材・・・紙、ライ麦、大麦、竹、ステンレスなど
では、ストローそのものは必要だと考えると、プラスティック以外の素材で代替する案が考えられるだろう。実際、スターバックスやマクドナルドは紙製のストローに切り替えるという。
紙製ストロー
奈良県の老舗で、現在は東京のKITTEなどにも進出している中川政七商店は、オンラインショップで紙製ストローを販売している(2018年7月12日現在、在庫なし)。
中川政七商店オンラインショップの説明を読むと、環境負荷も軽減できそうだ。
アメリカの紙製ストロー製造会社でも、6週間で6ヶ月分の売り上げがあったという(NHK 2018年6月4日放送「そのストロー、本当に必要ですか?」)。
ステンレス製ストロー
筆者が、プラスティック製ではないストローについて知ったのは、2018年3月。食品ロスに関心を持っているということでご連絡頂いた、ドイツ在住の日本人男性、Akihiro Yasuiさんが、何度も紹介していらっしゃった。ステンレス製のストローには、折りたたみできるストローもあり、印象的だ。
この投稿を受けて、「自分でも使っていますよ」と、写真つきでステンレス製のストローを紹介している人もいた。
ライ麦ストロー
筆者が食品ロス問題に取り組んでいる、ということで、2018年6月29日、「ゼロウェイスト(ゴミゼロ)」に取り組む人たちの集まりに呼んで頂き、東京・渋谷で集まった。その時にも、プラスティックでない、違う素材のストローが話題にのぼった。
この方々は、Akira Sakanoさんが運営するフェイスブックグループ「Zero Waste Japan Network」に属している。その中で、メンバーの小野幸恵さんが紹介したのが、ライ麦で作ったストローだ。「たむ農園」が紹介している。天然の麦わらだと土に還るのだという。
大麦ストロー
同じく、フェイスブックグループ「Zero Waste Japan Network」で、石川県小松市在住、小松商工会議所の坪田豊和さんが紹介したのが、大麦のストローだ。坪田さんは、2018年7月7日付の北國新聞に掲載されている大麦ストローの試作の手伝いをしているという。
ドイツでも、麦(ストロー)で作ったストローは、以前から販売されているそうだ。
竹製(バンブー)ストロー
竹で作ったストローもある。BALIISM JAPANは、2017年6月14日から、インドネシア・バリ島産の竹を使った竹製ストローを販売している。
カンボジアで竹ストローをもらった、という声もある。
リサイクルガラスストロー
ビール瓶のリサイクルで作ったガラス製のストローもあると、ツイッターで投稿されている。
パスタストローも!
2018年6月4日20時45分にNHKで放送されたビジネス特集、「そのストロー、本当に必要ですか?」では、なんと、パスタストローなるものが紹介されている。1998年ごろから営業しているマリブの海岸沿いのカフェでは、2018年4月からプラスティック製のストローの代わりに、パスタを使っているそうだ。確かに、真ん中に穴が空いており、ストローの代替品になりそうだ。
ちくわストローも!
パスタと発想が似ているが、なんと、ちくわ(竹輪)をストローにする、という人もいた。
使わない工夫
ストローを使わないでも済むものだろうか。筆者は2018年7月11日、東京・有楽町の喫茶室ルノアールで、テレビ制作会社の方と打ち合わせをした。注文したのはアイスコーヒー。紙の袋に包まれたプラスティック製ストローが出された。が、使わなかった。使わないでも飲めるかなあと思ったが、シロップやミルクを入れて飲むことができた。お店の人に「スプーンください」などと頼めばいいと思う。実際、6月に「ゼロウェイスト」の人たちと会った時、メンバー全員がストローを断っており、その意思の強さに驚いた。
前述のAkihiro Yasuiさんは、プラスティック製ストローの代わりに金属製のスプーンを頼んだり、お店の人に「要りません」と言うそうだ。
プラゴミはストローだけじゃない
SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)や海洋プラスティックゴミ問題を受け、世界的に使い捨てプラスティックストローの使用禁止の機運が高まるのは喜ばしい。だが、プラスティックゴミはストローだけではない。使い捨てのプラスティックカップやペットボトル、その他にもたくさんある。
上島珈琲店は、マイボトルを持参すると50円安くなる。筆者は青山店で使ったが、44名の顧客中、マイボトルを持参している人はゼロだった(2018年7月12日13時40分現在)。
魚や貝、食塩にもプラスティックゴミが混じって我々の体内に・・・
以前から騒がれていることとして、プラスティックが5mm以下の大きさになったマイクロプラスティックの影響がある。これらは有害物質を吸着しやすい。それが魚介類や貝類の中に入り、我々の体内に入り込む。海洋ゴミについて論じるサイト「プラスチックの海」では食塩にまでプラスチックごみが紛れ込んでいたという記事が挙げられている。もう、他人事では済まない。
プラスティック製ストロー禁止の世界的な流れから一歩踏み込んで、飲料の容器そのものやそれ以外のプラスティック素材のものに関しても、今より使用を少なくする動きを活発化していきたい。
参考記事:
2018年6月4日20時45分放送 NHK「そのストロー、本当に必要ですか?」