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板門店で北朝鮮に侵入し拘束されたアメリカ人兵士。「大声で走り越境」米報道の最新情報

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
韓国と北朝鮮の軍事境界線をまたぐ板門店(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

韓国と北朝鮮が共に警備するJSA(共同警備区域)で、ツアーに参加していたアメリカ人が、許可なく軍事境界線を越え北朝鮮側に侵入し北朝鮮軍に拘束された。

アメリカの最新報道によると、「故意かつ許可なく」北朝鮮に足を踏み入れたこのアメリカ人は男性で「兵士」と見られる。

米当局者の証言をもとにしたCBSニュースの報道によると、この兵士は韓国で軍事拘留されていたといい、解放され国外に護送されていたトラビス・キング(Travis King)という名の兵士だという(Private 2nd Classという上の方ではない等級)。この兵士は出国のため空港の保安検査を通過した後にどのようにしてか舞い戻り、国境見学のJSAオリエンテーションツアーに民間ツアーグループと共に参加していた。そして現地時間の午後3時27分、北朝鮮側に無許可で越境したようだ。

国連軍司令部は声明で、「我々はこの兵士が現在、北朝鮮内で拘留されていると見ており、解決に向けてKPA(朝鮮人民軍)と協議している」と語った。

同じツアーグループの一員だったという人物はCBSニュースに対し、「現場の建物の1つを訪れたところ、その男は大声で『ハハハ』と言いながら建物の間を走って行った」と語った。視界に北朝鮮兵士の姿は確認できなかったそうだが、「男の行動に対して、軍関係者は数秒以内に反応した。最初は何が起こったか良くわからず、悪い冗談でも起こったかと思ったが、男が戻って来ないので異常事態だと気付いた」と語ったことが報じられている。

現段階で情報が限られているからか、この事件はアメリカではそれほど大きなニュースとして扱われていない。続報が待たれる。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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