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【日本の名字】「それ、ペンネームですか?」うつくしい響きのあまりフィクションに思えてしまう姓・5選

原田ゆきひろ歴史・文化ライター

世の中には、その響きのうつくしさに思わず「自分も、その名字がいいな」と思ってしまう“姓”が存在します。

しかも、その詩的な雰囲気や意味合いの優雅さは、フィクション作品も顔負けな名字も少なくありません。

そこで、この記事では思わず反則級にも思える“うつくしさを誇る名字・5選”をチョイスして、ご紹介させて頂きたいと思います。

①【雫(しずく)】~詩的で可憐な響き~

日本全国に900名前後の苗字で、おもに栃木・岡山・徳島の地方にいらっしゃると言います。

ジブリアニメ作品「耳をすませば」ではヒロインの“名”が“雫”であるなど、自己紹介のときに苗字だけ名乗れば「あ、お名前ですか?」とも思われそうですね。

意味合い的には、そのまま雨粒であったり、草木にきらめくをあらわす一語です。

綺麗さを感じると共に、どこか詩的な響きもあり、何ともうらやましくなってしまう姓です。

・・そのルーツは一説によれば、いずこかに存在した湿地に由来するとも、江戸時代に存在した志築(しづく)藩の、文字が変化したものが由来とも言われます。

おなじ文字がつく苗字としては“雫石”さんや“雫川”さんなどもあり、こちらも素敵な響きですが、一文字の“雫”は、その中でもさらに際立ちます。

②【初音(はつね)】~創作のみならず実在~

※イラスト“こ~ぷす様”
※イラスト“こ~ぷす様”

初音・・と聞けば、即座に“ミク”(ボーカロイド)を思い浮かべる方も、少なくないことでしょう。

しかし、じつは実在する姓であり、それも全国で数十人とも言われる、レア苗字。

意味としては春先など、その年でいちばん最初に聞こえる鳥の声を指します。

かの源氏物語にも『初音』というタイトルの巻があるなど、古来から親しまれ、趣にあふれた言葉です。

余談ですが“初音ミク”の方も「ボーカロイドとして初めての声や歌を、世界に届ける」という意味合いが込められていると言い、まさに日本初の発想が世界中に新たな文化をもたらしたとして、今は日本史(現代)の教材に掲載されているケースも、あるそうです。

新しく生まれた子供に、しばしば名として付けられることも多いですが、それが最初からの苗字となれば、どこか得した気分にもなりそうな、素敵な姓です。

③【夜桜(よざくら)】~ライトノベルも顔負け~

たった一語で、その雅な雰囲気には、心を掴まれてしまいます。

春先になれば、日中に眺める桜も良いですが、夜桜と言えばさらに風流です。

まだ電気のなかった昔の人々も、桜の木のそばに、灯ろうやかがり火で明りをともし、夜に見る桜を眺めたと言いますが、その雰囲気だけでも詩歌の1つや2つが出来てしまいそうです。

なお、この記事で紹介する苗字は珍しいものが多いですが、その中でも特にレアな名字であり、全国でも両手の指で数えられるほどしか、いらっしゃいません。

“桜井”さんや“桜庭”さんなど“桜”がつく苗字自体はわりと多いのですが、“夜桜”さんは前述の“初音”にも匹敵する、激レアの姓。

イメージではありますが、現代ではライトノベルの登場人物などにも付けられそうで、まさに創作作品やペンネームも顔負けの苗字です。

④【杠葉(ゆずりは)】~秘められた意味も趣にあふれる~

声に出したときの、響きのやわらかさ。またどこか可愛らしさも混じる、素敵な姓です。

名字ではありますが、何となく「ゆず」や「ゆずっち」といった、あだ名が付きそうなイメージもあります。

もともとは植物の名が由来ですが、“ユズリハ”は新しい葉が出てくると、古い葉が居場所を“ゆずる”ように落ちるため「譲り葉」といった意味合いで、その名を冠しています。

また、一族の家系が途切れることなく続くイメージの象徴で、一部の地域ではお正月飾りや、かがみ餅の下に敷く風習もあります。

もともとの意味合いまで素晴らしい姓であり、勝手な想像ではありますが、この名字の方はきっと優しくおおらかな人柄なのではと、思い浮かべてしまいます。

⑤【有栖(ありす)】~和洋のどちらも優雅~

もし西欧の方に自己紹介するときには「アリス」という響きが、名字ではありますが、すぐに覚えてもらえるキッカケとなりそうです。

思わず「不思議の国のアリス」を浮かべてしまいますが、京都に存在する“有栖川駅”や、かつて存在した宮家にちなんだ“有栖川宮記念公園(東京都)”があるなど、和風の高貴さも漂う、和洋のどちらでも素晴らしい響きです。

こちらも発音だけであれば、苗字でなく“名前”として付ける1つにも、候補になりそうです。

ご多聞に漏れず、これも全国に約10人ほどという激レアの名字ですが、ぜひこの先も途絶えることなく、存続し続けてほしいと感じる姓です。

通常は変えられないからこそ

ちなみに余談ですが、現在の日本において“名前”は「どうしても変えたい!」と思ったとき、相応の理由が認められれば、裁判所の許可のもと変更できる可能性があります。

しかし“姓”については、女性が結婚相手の名字となるか、海外の国籍を取得し、その国が認めていれば、変えられるといった位でしょうか。

もちろん世の中のどの名字も、その由来をたどればご先祖の努力や深い歴史があり、目立つものだけが素晴らしいわけではありません。

ただ、それでも特別な名字を耳にすると、基本的には変えられないからこそ、つい羨ましくなってしまうこともあります。

今回は“うつくしさ”にフォーカスした姓をご紹介しましたが、過去には“カッコ良さ”にあふれる名字も記事にしていますので、良ければこちらも合わせてご覧ください。

ここまでご覧頂き、ありがとうございました。

≫【日本の名字①】反則レベルのカッコ良さに憧れてしまう姓・5選

歴史・文化ライター

■東京都在住■文化・歴史ライター/取材記者■社会福祉士■古今東西のあらゆる人・モノ・コトを読み解き、分かりやすい表現で書き綴る。趣味は環境音や、世界中の音楽データを集めて聴くこと。■著書『アマゾン川が教えてくれた人生を面白く過ごすための10の人生観』

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