Yahoo!ニュース

これぞ“最終戦男”の面目躍如! フェデラー、男子テニス・ATPファイナルズで16回目のベスト4進出!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
ジョコビッチと握手するフェデラー(写真左)(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)

 ロジャー・フェデラーは、ノバク・ジョコビッチのフォアボレーがネットにかかって勝利が決まった瞬間、飛び上がってコーチたちに向かって雄叫びを上げた――。

 男子ワールドプロテニスツアー最終戦であるNitto ATPファイナルズ(11月10日~17日、ロンドン・O2アリーナ)大会5日目、ビヨン・ボルググループのラウンドロビン(総当たり戦)の第3戦で、第3シードのロジャー・フェデラー(3位、スイス)が、第2シードのノバク・ジョコビッチ(2位、セルビア)を、6-4、6-3で破った。

 2019年ウィンブルドン決勝の再現となったこの対戦カード、勝った方がラウンドロビンを突破して準決勝進出できるという意味も含めた大一番となった。

 前評判ではジョコビッチ優勢の声が多かったが、ふたを開けてみると試合全体を通して、フェデラーはサーブの出来が非常に素晴らしく、ファーストサーブの確率が74%で、ファーストサーブでのポイント獲得率が81%で非常に高かった。

「彼(フェデラー)のサーブが良かった。彼のサーブを全く読むことができなかった」

 ツアーでベストリターナーの一人であるジョコビッチがこのように脱帽し、1回しかブレークポイントを奪えず、結局1回もフェデラーのサービスゲームをブレークできなかった。

「ノバクに対して、サーブの出来が良かった。彼にくらいついて倒すには、明らかにサーブのスタッツがキーになる」

 こう振り返ったフェデラーは、サービスエース12本とフォアのウィナー7本を含む23本のウィナーを決めたが、驚くべきことは、攻撃的なテニスを貫きながらミスをたった8本に抑えたことだ。普段だとディフェンスの良いジョコビッチの方がミスは少ないのだが、今回はフェデラーの完璧なテニスを前にして、ジョコビッチが19本のミスを強いられた。

ジョコビッチから4年ぶりの勝利を挙げたフェデラーは、人差し指を天に向けるポーズをとった(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)
ジョコビッチから4年ぶりの勝利を挙げたフェデラーは、人差し指を天に向けるポーズをとった(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)

 ジョコビッチには5連敗中のフェデラーだったが、2015年ATPファイナルズのラウンドロビンで勝利して以来、実に4年ぶりとなるジョコビッチからの勝利を収めた。これで対戦成績は、フェデラーの23勝26敗となった。

 これまでも、ツアー最終戦では抜群の強さを発揮してきたフェデラーだったが、今回のジョコビッチからの勝利は、これぞ“最終戦男”フェデラーの面目躍如だった。

「ここ数年彼(ジョコビッチ)に勝っていないのは知らなかった。今日できたプレーのレベルを本当に嬉しく感じる。ノバクを倒すことはいつだってスペシャルさ」

 ちなみに、ジョコビッチのラウンドロビンでの敗退が決まったことによって、ラファエル・ナダル(スペイン)が、2019年シーズンの年間ナンバーワンを決定させた。

「彼(ナダル)は試合を見ていたんじゃないかな」(フェデラー)

 38歳のフェデラーは、ラウンドロビンを2勝1敗で終え、ツアー最終戦で16回目の準決勝進出を決めた。フェデラーは、ビヨン・ボルググループで、ドミニク・ティーム(5位、オーストリア)と2勝1敗で並んだが、直接対決でティームに負けているため、グループ2位通過となり、11月16日に行われる準決勝で、アンドレ・アガシグループ1位通過の選手と対戦する。

 果たして、フェデラーが、いま一度“最終戦男”の強さを発揮するのか非常に楽しみだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

神仁司の最近の記事