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2030年末に巨大宇宙ステーションを廃棄、NASAがスペースXへ大気圏突入用の宇宙機開発を発注

国際宇宙ステーション(ISS) 出典:Wikipedia

2030年末に運用の終了を予定している国際宇宙ステーション(ISS)について、NASAはスペースXへISS廃棄のための発注を行いました。本記事では、ISSを取り巻く状況をはじめ、巨大なISSをどのように廃棄するのかについても解説していきます。

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■ISSは設計寿命の2倍も運用されている

また、1998年から建設が開始されたISSは、当初の設計寿命は2016年までとされていましたが、実際には、メンテナンスを重ねることで幾度も運用期間は延長されます。そしてNASAより、ISSの運用は2030年末まで継続され、その後太平洋上に落下させる計画が発表されました。つまり、ISSは当初予定よりも2倍もの期間、活用されるということになるのです。NASA、日本、欧州、カナダは2030年末までの運用に参加することを表明しています。

■ロシアはISS運用から離脱し、中国と強力へ

ロシアは2028年までのISS運用に合意をしていますが、それ以降は未定としています。また、最近では中国とロシアにより、2030年代に月面に基地を建造する計画も発表されています。ちなみに、日米欧ロが参加しているISSの運用には中国は参加しておらず、自国の宇宙ステーション「天宮」を運用しています。果たして、世界の国々は宇宙でも覇権争いを行うことになるのでしょうか。世界で協力して月開発を進める流れになれば良いなと思っていますが、今後の宇宙開発の方向性についても大注目です。

■巨大なISSをどうやって廃棄する?

そして、ISSをいかにして安全に大気圏に降下させるかという計画の概要も発表されています。しかし、当初の計画はロシアのプログレス補給船の推進力を利用することを念頭に作られていました。しかし、2028年以降にロシアがISS運用に参加する確証は得られておらず、他の計画を練り直すことが必要となっていました。

そこで、NASAは6月26日にスペースXへISS廃棄のための1350億円にも及ぶ発注を行ったのです。スペースXは、宇宙船「クルードラゴン」をベースにISSを牽引するための宇宙機を開発する予定です。そして、徐々に高度を下げていき、最終的にISSを地球大気圏へ再突入させ、燃え尽きさせるという手順となります。一歩間違えれば、ISSが空から降ってくることにもなりかねない慎重な作業となりますが、無事に完了すると良いですね。

ドラゴン宇宙船 出典:SpaceX
ドラゴン宇宙船 出典:SpaceX

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