不老不死?何度も若返れる「ベニクラゲ」死の危機に直面すると体が肉団子になり、幼年期へ変化する
みなさんは地球で一番長生きをする生き物といえば何を思い浮かべますか?本記事では地球上で確認されている寿命の長い生き物をご紹介します。
■世界最長寿命の生きものはどれ?
長寿な生き物といえば、カメでしょうか。190歳のゾウガメがギネス世界記録に認定されています。
または、北大西洋等の寒い海に生息する大型サメ、ニシオンデンザメでしょうか。400年近く生きることが分かり、科学誌サイエンスにて発表されています。脊椎動物で最も長寿な生き物です。他にも507歳と推定されている二枚貝、アイスランドガイの記録もあります。
■何度も若返れる「ベニクラゲ」
このような数百年もの寿命を持つ生物を差し置いて、不老不死と称されるクラゲがいます。ベニクラゲです。体長4ミリから10ミリ程度の小さなクラゲで、日本近海を含む世界中の暖かい海に生息しています。
ベニクラゲは「若返り」ができるという珍しい特徴を持っています。地球上の生物約140万種の中で、尻尾がちぎれてもまた再生するカナヘビのように体の一部を再生させる生き物は多数確認されていますが、ベニクラゲのように体全体が若返る生き物は極めて稀な存在です。
何度も若返ることで無限に生き続けられる可能性が不老不死と呼ばれる所以であり、ベニクラゲも老化現象自体は避けられません。
クラゲは通常寿命が一年程度で生殖を終えると死んでしまいます。しかし、ベニクラゲは老化や体が傷付くなどの命の危機が訪れた際に、若返りをします。ベニクラゲの若返り現象は1992年にイタリアの研究者によって地中海産で発見されました。
ベニクラゲは死の危機に直面し若返る際に、まず体が肉団子のように変化して、その後ポリプと呼ばれる幼年期の姿に若返り、そこから再び大人の姿へと成長していきます。そのライフサイクルを持つベニクラゲは、理論上は無限の寿命を持っています。現実的には、広大な海では沢山の捕食者や環境変化が待ち受けており永遠に生き残ることは極めて困難ですが、もしかしたら何百年、何千年と生き残っているベニクラゲがいるかもしれません。
将来、ベニクラゲの小さな体に秘められた若返り遺伝子が解明されれば再生医療やアンチエイジングに役立つヒントが得られる可能性があります、楽しみですね。
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