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【相模原市】世界で注目を集めるアマーロ(薬草酒)を求めて伊勢屋酒造へ

旅人間はらぺこライター

はらぺこライターの旅人間です。今回は神奈川県相模原市でアマーロ(薬草酒)を製造している「伊勢屋酒造」を取材してきました。

アマーロとは、イタリア語で「苦い」という意味、苦味を帯びたリキュールの総称で、要するに薬草酒のこと。その起源は諸説ありますが、今から1000年ほど前に修道院で薬を目的として作られたのが始まりだったよう。

その当時は、体に良いけど苦い…。そんな感じだったようですね。その後、フランス革命など混乱期を経てイタリアに流入し、イタリア一般民衆によって嗜好品として定着したという。

世界で最も飲まれているお酒は…

今、世界でアマーロが注目されていることをご存知でしょうか?

世界で最も飲まれているカクテルとして、2022年「ネグローニ」が1位に選ばれました。ネグローニはジン、ベルモット、カンパリを合わせたカクテル、これは要するにジンとアマーロ、ワインベースの薬草酒をミックスしたカクテルです。

そんなアマーロを日本で唯一作っている会社が伊勢屋酒造です。ということで…代表の元永達也さんにお話を聞きたく、アポを取り突撃取材をしてきました。

伊勢屋酒造 代表・元永達也さん
伊勢屋酒造 代表・元永達也さん

この伊勢屋酒造は、神奈川県相模原市の小原宿本陣から歩いてスグの場所、歴史ある街道に築100年の古民家を再生した製造所があります。ここは直接訪問して購入することも可能ですが、不定休なので購入はネットが確実のようです。

同店で造られるリキュールの製造方法は古典的で、また製造から瓶詰まで全てハンドメイドでおこなわれています。

薬草酒とは…

さて、ここで気になるのが ”アマーロを日本で唯一作っている” こと。「薬草酒は他にもあるのでは?」って思いますよね。例えば、「薬用養命酒」は超有名で日本人なら誰もが知っている製品です。伊勢屋酒造のアマーロと一体何が違うのか?

ズバリ元永さんに質問してみると、根本的な意味合いが違うという。つまり、薬用養命酒はハーブの効能に焦点を当てた医薬品。それに対し伊勢屋酒造のアマーロは薬味酒、つまり嗜好品です。薬だと定められた以上の量を飲むことは出来ませんが、嗜好品は良識の範囲内で自由に飲むことが出来ます。

ハーブを使った健康酒は他にも色々ありますが、世界で注目を集めるアマーロを日本で製造しているのは珍しく、伊勢屋酒造が唯一なのではないでしょうか。

なぜ、アマーロ(薬草酒)を始めたの?

ところで、なぜアマーロを作り始めたの?そんな素朴な質問をしてみると、大阪出身の元永さんはコテコテの関西弁で、自分自身がバーテンダーだったこと、世界を渡り歩いてきたという経歴から話してくれました。

そして、フランス、スイスを訪問した時に田舎でお酒を造っている風景にも影響を受け、調合して出来上がる薬草酒の考え方はカクテルと同じだと。そこで何十種類のハーブ、甘みのバランス、そこにお酒の経験と知識を加えたという

相模原市の自然の風景は、海外で過ごした時に似た空気感があって、ハーブも多く自生しているので、巡り合わせも良かったのかもしれませんね。

製造所に入ると、そこは沢山のハーブが干されており、スーッとする独特の香りで満ちています。レモンバーム、ほうずき、よもぎ、ラベンダーなど。

そして、できたてのアマーロを見せてもらうと…

製造している製品によって様々なようですが、こちらは自然の恵みそのものの濃い緑色で、アルコールは約30度だとか…。

薬草酒となるハーブを見せてもらうと…

庭を少し歩くと、ルバーブ、ホップ、セージ、ニガヨモギ、マジョラムなど沢山のハーブが植えられています。手で葉を擦ってみると良い香りが…。元永さんは「購入したモノでは、ここまでいい香りはしないんです。だから自分で育てないと」と笑顔で語る。

少し離れた畑まで行くと、そこは空地のように自由に植物が育つ場所。栄養の無い土に育つハーブは良い香りを出すという。とは言え、放置状態ではなく風通しが良くなるように環境整備され、ハーブは丁寧に手摘みで剪定されています。

ハーブは苦みがあるけど甘みもある。しかし成長し過ぎると苦みが増し、渋みまで出てしまうそう。細かい管理は大変そうです。

しかし「購入すると楽チンだけど、香りが弱いハーブが入っていると納得するアマーロが作れないので、自分の手で育てるようにしている」という。なるほど、嗜好品としてのアマーロ、苦みと香りのクオリティーは絶対に譲れないようです。

改めて質問すると、「アマーロは苦いもの。言葉の意味も『苦い』、だから苦みが弱かったり、甘みが先行したりはダメ。もともと薬だし、ココは絶対にこだわる部分なんですよ」とキッパリ断言されました。

ところで、伊勢屋酒造のアマーロ、どんな味がするのか気になりますね。

伊勢屋酒造の製品について

例えば、緑色の「スカーレット・ヴェルデアマーロ」は38種類のハーブで構成したもの。地元のフレッシュハーブをメインに使用し、ダイレクトな味わいが特徴となっています。そして赤色の「スカーレット アペリティーボ」は約30種類のフレッシュハーブと花をメインにつくられたもので甘くて苦いけど、甘すぎないのが特徴です。

両方飲んでみたら、どちらも苦い。苦いけど…ん?ふわりと香るハーブ余韻が心地よく、チビチビ飲みたくなる味わいで、今まで体験したことのない不思議なクセのある感じにハマってしまいそうです。

知る人ぞ知るワクワクする仕掛け

よく見ると、タックシール(封緘用シール)が付いています。元永さん曰く、お酒が好きな人なら、ここで「おぉー!」とワクワクするに違いないと。

作り手側は自分が作った酒を購入してくれる人とは出会えないので「えっ、タックシールあるの?」「そうそう、やっぱ気付いてくれた?」とった無言の会話をここで取り入れたのだとか。もはや酒マニアにしか分からない世界ですが、こだわりの徹底ぶりが面白い。

また、パッケージには「まいど、おおきに、ほんまもん、elixir(エリクサー)」と書かれています。このelixirとは不老不死・霊薬・万能薬といったニュアンスで使われる言葉。

他にも「まいど、おおきに、飲み過ぎ注意」といった文字がタックシールに小さく書かれていたり、「たこ焼き焼けた」「串カツ揚げた」といった言葉がローマ字で書かれている場合もあるという。元永さんは「小さな文字だから殆どの人は気が付かないかも」と笑いながら言うが、これも生産者と購入者の間で交わされる無言の会話の一つなのかも…。

日本人に馴染みの薄いアマーロですが、世界では大きなブームとなっています。つまり、日本でも人気の波がやって来るのは時間の問題かも。そうなると…伊勢屋酒造のアマーロは入手困難になる可能性もありますね。気になる方は早めに買っておくことをおすすめします。

伊勢屋酒造
住所:神奈川県相模原市緑区小原681
電話番号: 042-682-0625
公式ホームページ(外部リンク)
公式instagram(外部リンク)
地図(外部リンク)
取材協力:伊勢屋酒造

はらぺこライター

旅が好き、歴史も好き、食べるのはもっと好き ”はらぺこライター”です。 2005年にスタートしたYahooブログが全ての始まり。アメリカや東南アジア、インドなどへの一人旅、タイの首長族の村に泊まった体験談などを綴っていた。次第に旅行サイトから声がかかり、トラベルjpで新人賞、年間アクセス1位賞、SNSで記事が最も拡散されたソーシャル賞を受賞。またグルメサイトで連載、吉本興業の公式ライターなどを経て現在に至る。 最近は地域に古くから伝わる伝承や伝説、ちょっと変わったスポットに興味津々。旅と歴史、地元で人気のグルメなど幅広く紹介したい。

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