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【京都/宮津市】夜明け前、漆黒の海に浮かぶ漁船に乗り込んだ!2,500円で出来る漁師体験

旅人間はらぺこライター

はらぺこライターの旅人間です。京都府宮津市で漁船に乗って「定置網体験」を取材した。朝は4時に起き、海の上で朝日を浴びた。そして目の前で魚がドンドンあがる。このような体験が誰でも気軽に出来るって知ってましたか?

しかも料金は一人たったの2,500円。リーズナブルな価格で生々しいリアルな漁師体験ができる!今回はそんな「漁師体験のリポート」です。

京都府宮津市で「定置網体験」

宮津市といえば、日本三景の「天橋立」で知られている観光地。そして今、同地では”食の魅力”が注目を集めている。

この近海は「奇跡の海」と呼ばれ、良質で多様な魚介が獲れる漁場がある。リアス式海岸の地形と対馬海流が交差し、海底からは栄養分を含んだ水が豊富に湧きでているのが理由だとか。

そんな漁場で漁師体験ができるのが養老漁業株式会社の「定置網体験」だ。夏季は4時30分、冬期は6時30の出航となる。

夜が明け前の漆黒の海に漁船が浮かぶ漁港に到着した。船が出航する頃には空は茜色に変化を始めた。乗船前に前掛け、救命胴衣、ヘルメット、長靴、ゴム手袋を着用する。これが不慣れなのもあって少し動きにくい。

この日は波は穏やかで温かく恵まれた。ただ、朝は冷え込むので季節によっては防寒対策は必須となる。とは言え動きやすく、汚れてもよい服装を意識したい。また船酔いが心配な人は酔い止めの薬を飲んでおいた方が安心だろう。

さて、漁場に到着すると、そこには海面に無数の浮き玉が見える。この下に回遊する魚群を誘い込むワナの網が仕掛けられているという。

漁船が停止すると、漁師たちは一気に慌ただしくなる。戦闘態勢に入った漁師たちは一斉に網を巻き出した。

正面には「もう一隻の船」が停止しているのが見える。なるほど!この2隻の船で仕掛けた網を巻き上げて魚をさらう漁法というワケだ。

船長が「見てないで皆一緒になって手伝えぃ~!」と笑顔で叫ぶ。そう、これは単なる見学ではなく体験ができる。漁師と一緒に手で網を手繰り上げる。

とは言え、そんな力任せではない。もちろん少々力は使うが網を手に持って整えるイメージだ。大変だけど実に面白い。

網を引っ張って、引っ張って、引っ張る。

網に小魚が引っかかっていることも…

すると、それを狙ったカモメがシャッと食べにくる。「次は俺の番だ」と言わんばかりに一斉にカモメが集まりだす。

「クゥークゥー」とカモメが大騒ぎ!

カモメに目を奪われていたら、もう一隻の船が目の前に。

停止していたように見えた2隻の船は網を引っ張ると共に、ジワジワと距離を知事めていたのだ。

船の距離を縮まると、次第に網にかかった魚が見え始める。熱帯魚のように青く見えるのは巨大魚はシイラだそう。

そしてキラキラと光を反射し、魚はピチピチと跳ねまわる。大漁だ!

ここで仕分けもする

そして網はさらにあがり出す。

なんて迫力!息をのむ臨場感。

タモ網で魚群を持ち上げ船内の水槽に入れてゆく。

この作業を何度も繰り返すのだ。

漁師さんって気性が激しい海の男…ってイメージがあるが、この養老漁業の漁師さんは皆とっても優しい。例えば、「ほら!」と大きな魚を手渡してくれ「獲ったどーと記念写真を撮ってみ」と声をかけてくれたりもする。

可愛らしい魚が紛れ込むと見せてくれたり。これはハコフグで手で触るとカチコチで石のようになっている。

コバンザメもいた。吸盤のようピトッとひっつく。手で触るとウナギのようにニュルッとすべってなかなか手で持てない。

網には珍客のマンボウもいた。この後、海に帰された。

もはや取材どころではない。夢中になり楽しんでテンションが上がりっぱなしだ。次から次に魚が獲れ、漁船の上はそこら中で魚が飛び跳ねている。とんでもない非日常的な光景だ。

網には普段どんな魚が?と聞けばマダイ、サワラ、カワハギ、シイラ、ノドグロ、マイワシなど様々。漁師さん曰く「引き上げるまで何が入っているかわからない」という。時にはウミガメが迷い込んで入ってたこともあったとか…。

この定置網体験は約2時間。今回は3つの漁場を巡ったが、体感的にはあっという間に終わる。そして水揚げされた魚は、港で大きさや種類ごとに手早く選別され、地元の魚屋や飲食店、またホテルや旅館の関係者が買い付けにやってくる。

宮津市で「美味いか海鮮でも食べて帰ろう」なんて時、ホテルやレストラン、食堂で出てくる地魚は、この漁で獲れた魚なのだ。

なお、この定置網体験には5名以上の参加で「朝食付き体験」もある。

今、京都府宮津市では“食”による観光まちづくり「ガストロノミーツーリズム」に力を入れている。簡単に言えば、地域の文化や暮らし、自然、歴史、地域の風土そのものに触れることを目的とした旅行のこと。

ただ単に料理を食べて「あぁ~美味かった」で終わるのではなく、今回のように漁業の現場を体験することもその一つとなる。

ことわざに”早起きは三文の徳”なんて言葉があるが、本当にそうだなぁ~と感じた。最初は「4時起きってマジか!?」と思っていたが、実際に参加してみると「なんて貴重な体験」と実感したからだ。頑張って早起きして良かった…。

まだ真っ暗な早朝に港に到着、船上で朝日を見て、網を引き、魚がキラキラ光りピチピチと跳ねる臨場感、大きな魚を持った重さ、そしてショーのようにカモメが飛び回る姿、驚きや歓声、その一つ一つが思い出に残る。

きっと宮津で魚を食べる度に「この魚は…あのようにして獲れた魚だ」と思い出すに違いない。こんな体験が気軽に出来る宮津市の観光に注目したい。

養老漁業株式会社(定置網体験)
住所:京都府宮津市字大島1番地
電話番号:0772-28-9480
実施日:体験は土曜日を除く毎日
※参加日の3日前までにの予約申し込みが必要
料金:2,500円、中学生以下は1,500円
出航:夏季は4時30分、冬期は6時30
※詳細は公式サイトにて
公式ホームページ(外部リンク)
地図(外部リンク)

取材協力:養老漁業株式会社

はらぺこライター

旅行好きのライター。各地に伝わる伝説や民話、古くから地元で大切にされているモノを親しみやすく紹介したい|地元で人気の食堂やレトロな喫茶店巡り|”思わずクスッと笑ってしまうような”珍スポット探し|目標は個性的でヘンテコな旅本の出版|フォローして頂けたら嬉しいです。

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