Yahoo!ニュース

【一蘭方式】が話題。多頭飼育で1匹の猫だけに処方食を与えるにはどうすればいい?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:ロイター/アフロ)

猫が長寿になって、高齢猫までいます。

多頭飼育の場合は、その子にあったキャットフードを食べさせる必要があり、他の猫が食べないようにしないといけません。

朝晩、涼しくなってきたので、下部尿路疾患(おしっこが出にくくなる病気)の子を診察していて「この処方食をあげてくださいね」と伝えると、飼い主は「うちの子たちは、自分のキャットフードを食べた後に他の子と交換するのです。他の猫が食べているものがおいしそうに見えるのでしょうか」と言いました。

それで、今日は、多頭飼育の場合に、1匹だけに処方食を与える方法を考えてみましょう。

多頭飼育の猫に個別にフードをあげる「一蘭」方式とは?

猫は液体(みかんとじろうさんち)@jirosan77

上記の動画は、猫は液体(みかんとじろうさんち)の投稿です。

再生回数は、304万以上で(9月26日現在)人気です。猫は、「箱」に入ったりするのが好きな性質があるので、このように囲まれた空間に誘導するのはよい考えですね。

ダンボール箱で作ってあるので、割合に簡単にできるでしょう。

ラーメン屋さんの「一蘭」方式がこのように猫に役立つとはうまく考えたものです。

ごはんの取り合い対策に一蘭方式にしてみた。猫は液体(みかんとじろうさんち) より

上記の動画は、「一蘭」方式の配膳の様子を見ることもできます。

多頭飼育をしていると、猫同士がフードの取り合いをすることがあるので、その対策を考えた方がいいですね。

気の弱い子は、強い子に食べられてしまうことがあるので、食事の時間は飼い主は、ちゃんと食べているか見届ける必要があります。

「一蘭」方式は面倒な飼い主はどうすればいいのか?

イメージ写真
イメージ写真写真:イメージマート

病気ではない子は、やはり処方食は食べない方がいいですね。

面倒なので、他の子が処方食を食べてもまあ、いいか、と思っている飼い主もいると思います。「一蘭」方式が面倒な場合は、処方食を食べている子を他の部屋に連れて行き、孤食をしてもらいましょう。

そうすると、他の猫が食べるということにはならないです。

なぜ、処方食を他の猫が食べてはいけないのか?

イメージ写真
イメージ写真写真:イメージマート

たとえば、腎臓病の処方食は、リンとタンパク質の制限をしています。猫は、タンパク質を多く必要とする動物なので、腎臓病でない子がそれを食べると低栄養になる可能性もあるからです。

そのため、その猫に適切なフードを与えることは大切なのです。

まとめ

不妊去勢手術をしている猫は、どうしても食欲旺盛になります。

他の猫が食べているフードがおいしそうに見えるので、自分に与えられたフードは残して、他の猫のフードを食べにいく子もいます。

飼い主は、毎日、猫が適切に与えられたフードを食べているか確認してください。フードをお皿に入れて、その場でじっくりと猫の様子を観察してくださいね。普段、よく食べる子があまり食べないようなことなどあると、そこには病気が隠れているかもしれません。飼い主のそのような観察力が、猫を健康でいさせるのでお忘れなく。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

石井万寿美の最近の記事